久しぶりの旅は山梨へ その1 甘草屋敷と養蚕集落の突上げ屋根など | いつもお腹ペコペコランナー

7/2-3に山梨県へ行きました。牧丘 塩山 勝沼を巡りました。

 

塩山駅の前に甘草屋敷・旧高野家住宅があります。江戸時代後期に建てられた民家で国の重要文化財です。

吉宗の時代に 幕府御用として薬用植物「甘草」の栽培・管理を行ったことから名主になった高野家の旧住宅です。

 

 

 

「甘草」はこむら返りのときに飲む芍薬甘草湯や風邪薬の葛根湯などに入っている生薬ですが、多くは輸入に頼っており、実は薬に使われているのは1/3で2/3は食品の甘味料などに使われているのだそうです。高野家の甘草はウラルカンゾウ で、ここが日本で栽培できる南限らしい。おそらく唐文化とともに日本にもたらされ栽培されていたものが どういう経緯か屋敷内にあったのでしょう。

明治維新で甘草栽培は終了となりましたが、屋敷内に一部残っていた甘草の株から 平成になって栽培が復活したのだそうです。

甘草はマメ科の多年草で、根や根茎を乾燥させたものが生薬となります。

春に植え付けをし、一度越冬して2年目の冬、冬枯れしているときに収穫します。根は絡み合い、深いものでは1M以上もあるので 人力では大変なので重機で掘り上げるそうです。

 

さて、重要文化財に指定されている旧高野家住宅は「大きな切妻屋根の前面中央に突上げ屋根を設ける外観は当地方民家の特徴をよく示す。小屋の内部は3階になっていて、かつては2・3階を養蚕に使用し、突上げ屋根はその採光を目的とする。大黒柱を2階に通し、上端部の股で3階床を受るなど珍しい技法をみせる。」と解説されています。もとは茅葺きでした(昭和35年の修理で銅板葺きになった)。全国的には珍しいこの突上げ尾根は甲州盆地東部には広く見られるそうです。

 

この栗の木の柱が、自然に二股に分かれた姿のまま3階の床を支え、二階、三階を突抜け、大きな茅屋根の棟木を支えているということです。たくましい姿です。

 

 

甲州市塩山の上条集落へ行きました。山梨県東部の養蚕農家に特徴的な「突き上げ屋根」を持つ十数軒の古民家が現存していて 重要伝統的建造物群保存地区に指定されています。今では瓦やトタンに葺き替えられていますが、元々は茅葺きであった大きな切妻屋根の中央に、一段高くなった屋根があるのが特徴です

養蚕が盛んだった明治の頃、通風や採光のためにこのような造りに改造したのだそうです。

 

説明板によると黒川金山の中村弾左衛門宅が集落の始まりとのことで 中村マークのお家が沢山ありました。

 

昔は山裾まで開墾して桑を栽培していたそうですが今は果樹栽培です。

 

 

 

もしもしの家 という田舎暮らし体験施設がありました。茅葺き突上げ尾根です。

中を見学させていただきました。突上げ尾根の窓に寄ると涼しい風が吹いてきました。

昔の呼び出し電話が展示してありました。

茅葺屋根には色とりどりの草が生えていました。

 

 

 

 

続いて三富エリア。昔は秩父往還の口留番所のあった所。養蚕や煙草の栽培 林業などが主な生業だったようです。こちらは岡部のマークでした。

越屋根付きの養蚕農家だったと思われます。

 

突上げ尾根の民家もありました。

 

 

 

さらに南下して下荻原にも行きました。越屋根の家が何軒も見られます。

 

 

 

 

 

道の駅牧丘まで下ってきました。明治8年に建築された旧室伏学校が移築保管されています。当時の県令藤村紫朗は産業の改良や道路や学校の整備を進めました。藤村紫朗が奨励した明治前期の西洋建築と日本建築を融合させた建物は「藤村式建築」と呼ばれています。こんな学校で勉強するなんて素敵ですね。

 

 

続いて牧丘町です。越屋根や蔵のある家々。

突上げ屋根も散在します。

養蚕の盛んだったことが偲ばれる 興味深い町並みでした。

 

この棟飾りは何かな?寿と亀?

 

 

たくさんの甲州の民家を見ることができて ヒートアップしました。

続きます。

 

 

           今日はまだ届かぬ夢よ蝸牛