最近、マーベル・シネマティック・ユニバースの展開で、ヒーローはもちろんのこと、ヴィランにも有名になるキャラクターが増えてきた。

 アメコミファンとしては「○○の映画が次に公開される」と言われたとき、まずメインヴィランが誰になるのかが気になってしまう。



 バロン・ジーモというキャラクターをご存知だろうか?

 ナチスドイツの科学者で、特に何のスーパーパワーも持たないが、キャプテン・アメリカの宿敵の1人である。


 デッドプールのような覆面を被り、全身紫色のコスチュームを身にまとっている。

 科学者だけあって、様々な武器と数々の作成で謀略を巡らせる男だ。

 実写映画でも登場している、アメリカでは古残の人気キャラだ。


 そんな奴いた?と思うだろう。いたのである。

「シビル・ウォー キャプテン・アメリカ」でキャプテンとアイアインマンを戦わせる為にあの手この手を尽くした、ダニエル・ブリュールが演じたあの男だ。

 いや全然紫じゃねえし(ちなみに、パープルマンというヴィランもいる)。



 しかし、バロン・ジーモというヴィランの本質は、謀略と復讐心にある。

 原作では、超強力な接着剤を用いた兵器の開発中にキャプテンの襲撃を受け、誤ってその接着剤を浴びてしまったことで自慢の覆面が剥がれなくなってしまう(爆笑)。

 そこからキャプテン・アメリカに強い憎しみを抱くようになり、最終的にキャプテンが戦闘機ごと行方不明になる原因を作った男だ。


「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」ではこの辺りの役回りはレッドスカルが果たしていたが、実は結構重要なキャラクターなのだ。

 最終的にキャプテンが20年間行方不明(実写映画では70年)の間に亡くなってしまい、息子が2代目バロン・ジーモとして戦っている。


 映画版のバロン・ジーモは自身を「ヘルムント・ジモ」と名乗っていたので、2代目に相当するキャラクターだ。



 話が逸れたが、謀略と復讐心という最大の共通点を満たしていたジモ大佐は、たとえ紫のコスチュームがなくとも、紛れもなく「バロン・ジーモ」その人だ。

 むしろ、実写版のジモ大佐の方がリアリティ溢れてるせいか、原作よりも恐ろしく感じてしまう。

 劇中で彼は言っていた。「私ではどう転んでも君たちに勝てない」と。


 だが、それでも復讐の為に手段を選ばず挑んだ彼は、事実ほぼ全ての事柄を思い通りに進め、狙った通りの悲劇を引き起こすことに成功した。



 スーパーパワーがなくてもヒーローになれる。スーパーパワーがなくてもヒーローを倒せる。

 結局、正しさを見出せない者が負けるのではないかと思ってしまう。


 マーベル・シネマティック・ユニバースには、原作とかなり姿や設定が異なるキャラクターも多い(アーニム・ゾラ博士やマンダリン、アイアンパトリオットなど)。


 たが、原作が必ずしも正義ではない。

 今後も脳裏に焼きつくようなヴィランたちの活躍を楽しみにしている私である。