第二章 感謝(1)
「愛実ちゃん、私今の席めっちゃいいかも。章ちゃんの隣で良かった。愛実ちゃんの近くじゃなくて残念だけど。」麻子はとても嬉しそうに愛実に話かけた。「それは良かった。私はいまいちかな。」「そっか。まぁ後一ヶ月の辛抱だよ。どうにかなるって。」愛実はそんなことはないと思った。明日から学校に行くことがとても憂鬱に感じた。でも愛実は人に自分の悩み事を打ち明けるような人ではないのでこれ以上何も言えなかった。「あっ愛実ちゃん明日放課後勉強教えてくれるんだよね。」「かおちゃん久しぶり。そうなの、麻ちゃん?私も 御一緒しても宜しいでしょうか。」愛実本人は勉強会のことをすっかり忘れていた。「かおちゃんありがとう。麻ちゃんもちろん良いですよ。」「何がありがとう?まあいいや。」塾、行きたくないな。來未と一緒の教室は学校で十分だ。でも行かなくちゃ。そんなことを考えながら愛実は塾の用意をした。塾が終わって感じる精神的な辛さは、勉強よりも來未のことの方が上回っていると愛実は思っている。愛実は寝ているとき以外はほとんど來未のことを考えているだろう。 新しい席になって初めての授業は社会のテスト返しだ。先生が出席番号順に名前を呼んでいる。「小林ー佐藤ー。」小林の八十二点のテストがちらりと愛実の目に入った。愛実は怖くてなかなか自分の返されたテストを見る事が出来なかった。