第一章 席替え(2)
とりあえず愛実にとってとても辛くて苦しくてたまらなかった。もちろんその事を愛実の友達もみんな知っていた。「大丈夫?もうすぐチャイムなるからそろそろ教室もどろっか。」「うん。ありがとう。ごめんね…。」「あやまらないで。愛実ちゃんは何も悪くないよ。」 「校長先生のお話聞いてた?」「全然聞いてない。何話してたの?」「鳴き砂の話だよ。確か。」「うそぉ。知らないよ。」愛実は岩崎章未と田中馨に始業式での校長先生のお話を一生懸命説明していた。愛実本人もしっかりと聞いていなかったので、 あやふやだった。愛実はいつも章未、馨と下校を共にしている。(麻子たちの家は愛実たちの家と違う方向にある。)「そういえば、章ちゃんとかおちゃんは確か、梶原専願だったよね。」「そうだよ。梶原の進学だよ。」「かおは美術科。私はみんなみたいに頭良くないし、それに私絵描きたいんだ。」「そっか。あおちゃんは絵、とっても上手だから美術科あってると思うよ。」「そうだよね。前の絵画コンクールでも入賞してたしね。」「でもかおね、梶原の美術科も受かるかどうか怪しいんだよ。梶原の目標偏差値四十五なのに、私の今までの最高って四十三なんだよ。」馨は、中学一年生の頃から私立梶原高校の美術科に行きたいとずっと言っていた。「そうだ。愛実ちゃん、かおちゃんに勉強教えてあげなよ。」「良いの?愛実ちゃん…。」「もちろん良いよ。明日から放課後図書室で勉強会しようよ。」