あてもなく街中をさまようように、私は日中の雑踏の中を歩き続けた。
人混みに紛れているのが安全だと思った。
でも、足が疲れた。
普段あまり歩くことも少ない私の素足は、フラットシューズを履いていても、かかとが靴づれで擦りむけてしまった。痛い。
足を引き摺りながら、それでも歩き続ける。
脇道に入ったところに、小さなカフェがあった。
店構えと、ガラスの扉に白く描かれた店名を見て、ここだ、と思った。

ここなら、安全だ。

私は確信していた。
この世界には、目覚めたる人と、普通の人がいる。
私は突然目覚めてしまったのだ。
そして、ルールがある。
でも、私には、そのルールがわからない。

ドアを押して、店の中へ入った。
店内はヒンヤリとしていて心地よい。エアコンが効いている。
私はやっと、ほんの少しだけホッとした。
店内は空いていた。
あいている席に座り、メニューを手に取ると、疲労感が押し寄せ、目眩がした。

私は、安全な場所を探して歩いていた。
まず安全な場所へ。
目覚めたる仲間に見つけてもらい、それからどうすればよいのか、教えて欲しかった。
私には、何もわからないから。