木工所の社長の工場には『宝物』があります。
30cm×400cmの木材である。
希少価値があるものでグレードも色々あるらしいのだが
社長のところにあるものはこのサイズで数十万円するらしい。
それが数本ある。
大昔に木場へ行ったら売っていたから買ったという。
その時にその木材を使ってのオーダーが入っていた訳ではないが、
とりあえず持っておこうと考えたらしい。
実際にその木材を使って○○を作って欲しいとオーダーがあったことは
過去に数回あったらしい。
安価な大量生産品が市場に出回るようになってからは全くオーダーがないらしい。
社長曰は『今後オーダーがあったとしてもその木材を使うかどうかは分からない。
金額だけではオーダーを受けない。』と言う。
本当にその木材の希少価値が分かってもらえるお客さんのために使いたいと添える。
残念ながら小生は不合格。
その木材の価値など全く分からなかった。
機材の上に置いてあるそれを見て『重しに使っている木材』と思っていたのである。
年齢的なことなのか社長を見るとお金をさほど必要としていないように思える。
がむしゃらに働き、稼ぐという時期は過ぎたのであろう。
だからこそ社長に残った物は『職人根性』なのだと思う。
構造、強度、見た目、使いやすさ、耐用年数・・・などをとことん考えて物づくりをしてくれる。
きちんと作られた物を持つと嬉しい。満足度が高い。
小生は社長の元を訪れるたびに『木工品や物作り』、『木』についていろいろ教えてもらう。
小生が知らなかった分野の『良し悪し』を知りたいと思うのである。
社長は『昔の職人さんはそんな人ばかりだった。』と言う。
経済性や効率性の良さを追求した結果、工場で働く工員さんが増え
日本の職人さんは消えていったという。
よく聞く話である。
社長の元には40代の従業員の方が1人いると言う。
日本の技術力を継承してほしいと願うのである。