ラグビー場に平尾誠二さんのいない2度目の冬が来た。
私は同志社の頃からずっと彼のラグビーが大好きだった。華麗なステップ、不意を打つ突破力、クールな笑顔。
神戸製鋼の赤、全日本の桜を付けたユニホーム姿、カッコイイ!
一度だけ瑞穂グランドでトヨタとの試合の時、引退した平尾さんが黒のコートを着て私の前に座っていたことがあった。
一生忘れられない思い出になった。
そんな私の憧れの人が昨年胆管がんで亡くなられた。報道され事実であっても受け入れ難かった。
この「友情」という山中伸弥氏と平尾誠二氏の告知後の最後の時間を綴った本は、全力で生き抜こうとする者を全力で支える者、この時間を共有するために出会ったかにも思える男の友情の物語だった。
どちらにもお互いの「覚悟」があったのかもしれない。
読み終えた後、私の心の深いところでノーサイドのホイッスルが鳴り響いた。