見落とされがちな日本の侵略戦争に対する(中国の)処罰感情

一、序論
1、「戦後72年が経過したから、日本は、もう謝罪しなくても大丈夫」などと身勝手な感情論

  で国家主義を自慢する右派系市民らが嫌韓や嫌中のフェイク・ニュースを拡散して、排外

  主義的なヘイトスピーチを煽る様子がネット上でも見られるようになった。
2、戦争の歴史に学ばない無知を曝け出す右傾化に流されるように、政府与党の政治家や
 公共放送まで排外主義を煽るような言動・報道を繰り返すようになった。
3、しかし、これら日本の国家主義偏重の態度は、中国・韓国との歴史認識問題を悪化させ

  る一方であろう。

二、歴史認識問題に関する、日本側の過小評価
1、歴史認識問題の深刻化の大きな原因の一つは、日本側の同問題への過小評価だ。
2、1972年の日中国交正常化時、日本側から「(日中戦争などの)過去の戦争を深く
  反省する。」という意思表示を受けた形で、中国側は日本への戦争賠償請求権を放棄
  するという共同声明が発出された。
3、これは、日本の民法でいえば解除条件付債権放棄に近い事例といえるだろう。
4、つまり、「日本が侵略戦争の歴史を反省するならば損害賠償を放棄するが、反省しない

  場合は、戦時賠償を支払え。」と解釈することは十分可能な内容なのである。
5、しかし、今の日本の国内世論をかえりみる時、同反省のかけらも感じられないような
  歴史修正主義的或いは排外主義的暴論が日本国内で横行しているのが実情だ。
6、そして、これらの暴論が日本の政府与党から発信されるような場合には、同発信は、
 日中共同声明の本旨を没却する事実として糾弾されても止むを得ないだろう。
7、さらに、具体的事例を挙げるとすれば、日本の右派系の一部の議員や同支持者らが日頃
 よく叫んでいる「南京大虐殺はなかったww」等の言説に代表されるような歴史修正主義
 の蔓延なども「日中共同声明の本旨を没却する事実」に含まれる。
8、日本の人々は、戦争被害国の国民感情の批判に晒されることが殆どないので、戦争の
 歴史に対する自国の無反省振りが海外(中国大陸など)でどのように評価されているか
  考える機会がないだろうが、それでも、戦争被害国側の国民感情への配慮が無さ過ぎる
  日本の現状を説明するには「歴史認識問題への日本側の過小評価」とする以外に弁明の
 余地は無くなりつつある、ということが言えるのではないだろうか。

三、日本の歴史認識の欠如に対し、膨らむ被害国側(中国等)の処罰感情
1、処罰感情という表現を用いるが、具体的には犯罪者に対する処罰感情に近い感情論が
  中国人の日本に対する反日感情の大部分を占めているということがいえるだろう。
2、たとえば、最近ワイドショーやニュースでよく報道される東名自動車道における死亡
 事故を誘発したとされて逮捕された容疑者が、被害者夫婦の運転するワゴン車を進路
  妨害を繰り返し無理矢理高速道路上で停車させたことが原因で起きた死亡事故の事件
  に対して視聴者である国民の多くが「許せない」「危険運転への厳罰化が必要だ」な
  どの憤りを感じるような国民感情なども「処罰感情」である。
3、そして、中国人の多くが日本の侵略戦争の歴史事実について抱いている反日感情も
  前述した「処罰感情」と同様の憤りの感情であることを、日本人の多くが理解できて
  いないという問題点が、今の日中間の歴史認識問題に大きなウエイトを占めるように
  なっているようである。
4、過去の日本の侵略戦争に対する、中国側の処罰感情は昔からあったが、近年は歴史
  認識問題や尖閣国有化などの領土問題が原因で、「(中国側の)日本に対する処罰感情」

 は大きく 膨らみ続けている(下のイメージ画像を参照)。

 
 

四、反日感情・処罰感情の軽減には、歴史問題に対する日本の再認識が急務
 1、日本の右傾化が言われるようになって久しいが、日本政府や与党は、政争に右傾化
   の国民感情を利用することに夢中になり過ぎて、右傾化が日本にもたらすリスクを
   評価してこなかった。
 2、そして、右傾化が日本にもたらす軍事・外交上のリスクと同様に、右傾化が日本経済
   に与えるダメージの大きさは、中国の経済成長に比例して増大しているという事実を
   過小評価しているのが、日本の現状といえるだろう。
 3、また、中国の国民感情を深く分析せずに、安易な中国脅威論や歴史修正主義に溺れて
   露骨な中国敵視策を採り続けた極右政権の安倍自公政権や日本の公共放送・メディアが
   犯しつつある罪は余りにも大きい。
 4、日本の右派系市民らの間では「中国の反日教育は、けしからん。」という感情論が
   主流のようだが、右派系市民らの感情論は、前記でも述べた死亡事故誘発した加害運転
   者が逮捕前に言っていた「カチンときた。」などという弁解と殆ど変わらない悪質な
   責任転嫁と同様の暴論であることを、日本の皆さんは改めて認識するべきだろう。
 5、そして、日中共同声明発出時の原点に返って、中国側の国民感情に配慮した歴史検証
   や日本国内世論における歴史認識の醸成を日本側の努力で、やり直すべきだろう。
 6、ITの発達・普及で感情論的なフェイク・ニュースが拡散しやすい現状では、日本が
   行った侵略戦争に関する、反省を踏まえた歴史認識の醸成は、口で言うのは簡単だが
   相当の困難を伴う事案でもあるはずだ。
 7、よって、良識ある歴史研究家や有志の皆さんに「反省の歴史認識の醸成」を日本が
  行えるようになるよう、言葉や表現を換えつつ、繰り返し問題提起して頂く以外には、
  日本が歴史認識問題を巡る中国側の処罰感情・反日感情を和らげることは不可能だ。
                                                                                                                  以上