202453FP試験の出題傾向について

 

5月の試験から3級はCBT試験に移行しており、紙試験は一部では実施されるものの試験問題の公表は毎年5月に年1回となります。

試験の出題傾向が把握しづらくなりますが、紙試験から大幅な変更はないのではないかと思います。

3級では基本的な論点を中心に学習し、あとはもう少し踏み込んだ学習をすることでほぼ合格ラインの6割正解はクリアできそうです。

 

1.学科

勉強をきちんとした人にはほぼサービス問題と見えたはずです。

ただやや細かい論点が出されていたので、幅広く学習させるように仕向けていたと思います。

(1)ライフ分野

4

国民年金の第2号被保険者である公務員が確定拠出年金の個人型年金に加入する場合、掛金の拠出限度額は年額144,000円である。 

確定拠出年金は覚えることが多い論点ですが、なかなか細かいところが出ました。

国民年金の第2号被保険者である公務員の拠出限度額まで問われるとは思いませんでした。

(2)リスク分野

特に難しい問題は出ませんでした。

満点の人も多かったと思います。

(3)金融分野

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2024年中にNISAの「成長投資枠」を利用して上場株式を購入することができる限度額(年間投資枠)は、年間( )である。 

1) 102万円 

2) 120万円 

3) 240万円 

2024年からNISAは新制度に移行しました。

法改正の端境期のため出題内容が限定的でしたが、今後は細かい論点も出ると思うのでしっかりと新制度を覚えてください。

(4)タックス分野

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個人が受け取った非上場株式の配当については、その金額の多寡にかかわらず、所得税の確定申告不要制度を選択することができる。 

配当所得や配当控除はなかなか難しい論点なのでよく論点を整理しておいてください。

20

夫が生計を一にする妻に係る医療費を支払った場合に、妻の合計所得金額が48万円を超えるときは、その支払った医療費は夫に係る所得税の医療費控除の対象とならない。 

一見すると○のような気がしますが正解は×です。

間違えた人はもう一度医療費控除の適用要件を見直してください。

46

所得税において、国債や地方債などの特定公社債の利子は、原則として、( ① )課税の対象となるが、確定申告不要制度を選択すること( ② )。 

1) ① 総合 ② ができる 

2) ① 源泉分離 ② はできない 

3) ① 申告分離 ② ができる 

この問題もなかなか細かい論点なのでサブノートを活用して分かりやすくまとめておいてください。

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所得税において、( )は、所得控除に該当する。 

1) 配当控除 

2) 雑損控除 

3) 住宅借入金等特別控除 

税額控除と所得控除の違いは何か知っていないと解けない問題です。

(5)不動産分野

今回は難問の類は出ませんでした。

解答しやすかったと思います。

(6)相続分野

相続分野も楽勝だったと思います。

学習をきちんとした人ならほとんどがラッキー問題に見えたはずです。

 

2.実技

(1)金財(個人資産)

2級でも似たような数字を使いまわしていたのにはビックリしました。

確定拠出年金の個人型年金・配当控除などは細かい論点なので実技でも出ます。こういう問題で正解できないと得点が積み上げられません。

例年通りの出題パターンだったのでホッとしています。

CBT試験でもこのスタイルは変わらないことを祈ります。

(2)FP協会(資産設計)

CBT試験によるサンプル問題が掲載されていたのでこちらを解きました。

全体的に3級の基礎問題が出ていました。

FP協会の実技は元々出題傾向が一定ではないので幅広く学習しておかないと対応できないこともあります。

簡単な問題も間違えやすい問題も配点が5点なのでイージーミスは許されない。

 

3.総評

全体的に学科・実技とも基本的な知識が問われました。

次回の試験から3級はCBT試験なので問題が公表されません。

一部激変対応措置として紙試験は残りますが、出題傾向が分からなくなるので油断は禁物です。

特に法改正された論点は要注意です。

頻出問題だけをやれば合格できる保証はないですから、満遍なく学習する必要があります。

受験する時期によって出題レベルが変わるかもしれませんので、なるべく法改正に引っ掛かりにくい4月か5月、または7月あたりまでに受験するといいでしょう。