いい記事を見つけたので紹介します。
法律で認められている権利には権利行使できる期限が決められているものがほとんどです。
相続でも民法や相続税法などで遺産に係る権利行使の期限が規定されています。
FP試験にも役立つので勉強してみてください。
1.遺産分割をする権利(遺産分割請求権)の行使
遺産を分割する権利は基本的に時効はありません。
この遺産分割請求権は相続されるので、 仮に遺産分割をしていない状態で亡くなってしまったとしても 次の世代の者が権利行使することができます 。
2.遺留分侵害額請求権の行使
遺留分を侵害されている場合、その請求権を行使できる期限は遺留分を侵害されていることを知った日から1年です。
意外と短期間なので注意が必要です。
例えば妻の法定相続分は1/2ですが、最低限遺産を相続できるのは法定相続分×1/2なので、1/4が遺留分になります。
仮に遺留分を侵害されていることを知った日から1年を超えた場合は、遺留分侵害額請求権の行使はできなくなります。
遺留分を侵害されていることを知らなくても相続開始から10年で遺留分侵害額請求権は消滅します。
3.相続回復請求権の行使
相続回復請求権は、本来遺産を相続する人以外の人が相続をする場合がありますが、本来の相続人から遺産を返還するよう請求できる権利です。
相続回復請求権の時効は5年になります。
本来の相続人が自分の権利が侵害されているということを知った時から5年です。
この事実を知らない場合でも相続回復請求権は相続の開始から20年で消滅します。
4.相続税の申告
相続税の申告は死亡日から10ヵ月以内であり、この期限までに申告・納税をする必要があります。
相続税に関する時効は原則5年ですが、 申告が必要であることを知っていてしなかった場合や意図的に財産を隠していた場合などは7年になります。
7年を超えて税務署から何も言われなかったら相続税は納めなくてもいいのではと考えても無駄です。
税務署はそんなに甘くありません。
5.相続放棄の手続き
相続の開始があったことを知った日から3ヵ月以内に家裁に対して申述することになります。
相続手続き後に被相続人の借金があった場合は、下記のような最高裁判決が出ています。
「相続放棄をする時期や期限についての最高裁判決」
「相続放棄は相続人が被相続人の債務があることを知った時期から3ヵ月以内」の相続放棄も認められます。
相続放棄の期限を「相続の開始があったことを知った日から3ヵ月以内」を基本として、「債務の存在を知った日から3ヵ月以内」も認められるようになります。
相続財産はプラスの財産だけではありません。債務などのマイナスの財産も相続することになります。
債務の存在を知ることなくプラスの財産だけを相続すると著しく不利になるとの判断から、「債務の存在を知った日から3ヵ月以内」も認められるようになりました。
よって相続をする際は債務等のマイナスの財産がないか事前に調査する必要があります。
6.不動産の名義変更の手続き
令和6年4月1日以降は名義変更が義務づけられ、所有権を取得したことを知った日から3年が期限となります。
7.生前贈与の贈与税の申告
贈与税の時効は原則6年になります。
贈与があった日の属する年の翌年の3月15日(贈与税の申告期限)から起算して6年となります。
ただし、相続税の場合と同様に悪質な場合には時効は7年となります。
まとめです。