日銀がゼロ金利政策を解除することになり、経済にどんな影響があるかこぞってニュース等で取り上げられているが、視点を変えてFP試験的に切ってみたいと思う。

 

1.金利が上昇するとどうなるのか?

日銀の金利政策についてはここでは説明しません。

金利が上昇すればどんな行動を取るかを中心に考えていきます。

条件は分かり易く1%の金利が10%になったと想定してください。

 

(1)銀行預金

1%の金利が10%になったらあなたならどうしますか?

100万円預ければ1年後には110万円になります。

だったら余分なお金を消費に回すより銀行に預けようと考えるはずです。

そうすると消費は減退することになります。

(2)お金を借りる人はどう行動するでしょうか?

住宅ローンやその他のローン、企業が事業のために借りるお金は金利が上がれば借りるのをためらう人も出てきますよね。

銀行は預金で集めた金利よりも高い金利で貸し出すわけですから、10%より高い金利で貸し出して利ざやを稼がなくてはいけません。

よってお金を借りる人は10%ではなく10%以上の金利を負担しなくてはなりません。

そうなれば銀行からお金を借りる人が減ります。

住宅ローンを組む人や設備投資をお金を借りてまでする企業が減るので、結果として景気が減退します。

(3)為替相場

日米の金利を例にして説明します。

日本の金利・・・10%

アメリカの金利・・・5%

アメリカの人ならどうするでしょうか?

アメリカでお金を預けても5%しか儲かりません。

日本にお金を預ければ倍の10%の金利がつきます。

それならドルを売って円を買って日本の銀行に預けようとするでしょう。

つまりアメリカだけでなく自国の金利より高い金利を提示してくれる国の通貨を買うことになります。

円を買いたいという人が増えれば円高になります。

つまり円の価値が上がるということになります。

人気商品は品薄になり価格が上昇するのと同じ原理です。

(4)株価

株価は金利の上昇により上がるか下がるかは微妙です。

日本は輸出で儲けている企業が多いので円高になれば輸出企業は儲けが減ります。

逆に輸入企業は円高により調達コストが安く済みます。

代表的な物は原油の輸入です。

株価は様々な企業の業績が影響するので株を買われる企業と売られる企業とに分かれるので金利の上昇により上がるか下がるかは微妙ということになります。

(5)物価

私たちの生活に一番影響があるのは物の値段です。

消費者の行動によって物価の価格が決まります。

物が売れる・・・価格上昇

物が売れない・・・価格下落

これが大前提ですが、消費者の行動によってどうなるか。

・余分なお金を消費に回すより銀行に預ける→消費が減退→価格下落

・住宅ローンやその他のローン、企業が事業のために借りる人が減る→消費が減退→価格下落

代表的なモデルはこの2つですが、今の経済は複雑なので消費が減退しても物の価格は上昇することもあります。

つまり消費が減退して物が売れなくなってもその他原材料費の上昇などの要因によって物価が上昇し続けることもありえます。

消費の減退→物価下落とはならないのが今の経済だと考えてください。

 

今回のケースでは1%の金利が10%になったと想定しているので極端な動きになりますが、今回のゼロ金利解除は極めて小幅な動きなので上記の事象に影響が出るのにはタイムラグがあると考えられます。

最後にどんな影響が考えられるかまとめておきます。

 

円高→原油の調達コストが安く済む→様々な物の価格が下落(これが一番大きい)

ローン→高金利を嫌って借りる人が減る→住宅を買う人・設備投資をする企業が減る→景気減退

海外旅行→円高になれば少ない資金で旅行ができる→旅行関連の業種は活気付く

輸入品→円高差益により安く購入できる

生命保険→運用利回りが上昇→保険料が安くなる

債券→債券の利回りより銀行預金の利回りが高ければ→債券価格が下落

株→円高になる→海外から買う人は調達コストが増える→海外からの買いが減る

円の価値→円が買われる→国際的には上昇