俺が小中学校に通っていた頃は勉強のできない生徒は先生から完全に相手にされなかったと大人になって気づいた。

教育方針が次第に「落ちこぼれをなくそう」という流れになり、そういう人たちの教育に力を入れるようになった。

だがその流れが教育環境を悪く変えてしまったのは否めない。

 

俺も中学校の時に学級崩壊まではいかないが、特定の勉強のできない不良たちに支配された時期があった。

特に大問題を起こすような奴らではないが、悪知恵が働くような奴や陰湿ないじめをする人間など今風に言えば「人間のクズ」のような奴がいっぱいいた。

担任はそんなクラスを見て見ぬふりだから助けにはならないのは分かっていた。

同じクラスにAというバカがいた。

当然勉強はできないし、先生たちも「コイツに勉強を教えても無駄」と思っていたのだろう。

Aも警察の厄介になったりするような人間ではないから、学校側としても大きな問題を起こさなければオーケーというスタンスなので特に授業中などに騒いでも何も注意はしない。

クラスには本当の裏ボスがいて、仮にBとするとコイツがクラスにいるバカ連中を操っていた。

不良集団のパワーバランスはこうだ。

裏ボス=B

裏ボスと同格のC

裏ボスの下僕=A

九九もできない本当のバカ=D

その他勉強ができずに不良になる者数名

人数にしたら40人学級で10名くらいだと思っていい。

 

学級崩壊しなかったのは、この不良グループがバラバラな行動だったからだ。

B・C・Aの関係はしっかりしていたが、Dやその他の不良は全て単独行動なので統一性がなくギリギリのところで学級崩壊は免れた。

だが同じクラスの真面目な連中は相当迷惑を被ったのだからたまったものではない。

とにかく授業中うるさくて集中できないから何回も授業が停止する。

授業中よりも休み時間がもっと悲惨。

先生もいない教室でやりたい放題だからみんな休み時間は教室を出て行く。

俺は面倒臭いから寝てたけどね。

次第にAを見る目が哀れみに変わったよ。

正直Aは今で言うと知的障害者だったのだろう。

落ち着きはないし、口もひん曲がっていて目もうつろな感じだった。

その頃は知識がなかったから分からなかったが、「薬物患者」そのものだったと今でも思う。

 

でもこんなクラスで何もしなかった担任や学校が一番悪いと思っている。

落ちこぼれは普通の人間や勉強のできる奴とは絶対に別の環境に置かないとダメだ。

「落ちこぼれを出さない」とか「落ちこぼれを救え」というのは理想であって、現実的には無理なんだ。

自分で何とかしないといけない。

要は本人の気付きがないと落ちこぼれからは脱却できない。

 

ちなみに、件の登場人物の現在を書いておこう。

裏ボス=B→数年後バッタリ会ったが相変わらず嫌な奴だった。

裏ボスと同格のC→ヤクザ

裏ボスの下僕=A→如何わしいデリバリーの店長

九九もできない本当のバカ=D→暴力事件を起こして逮捕。その後は知らん。

その他勉強ができずに不良になる者数名→良い噂は聞かない。

 

でも彼らに出会って良かったな。

「ああなったらお終いだ」って思ったもん。