2024年1月3級FP試験の出題傾向について
今回の試験は、3級の初歩的な知識を問うものがほとんどでした。
このレベルなら記憶力が良い人で過去問を5年分くらいやれば36点以上は取れる可能性は高い。
受験初心者でも1週間本気で朝から晩までやれば学科は合格するかもしれないくらいレベルでした。
特に3択問題は最早3択ではなく、間違いなく1択問題というくらい迷うことなく正解を選べるくらい簡単でした。
3級のこのレベルで不合格になる人は根本的に学習方法を見直さないと到底上位級の合格は目指せない。
1.学科
CBT試験に移行するので頻出問題の的中率は省略します。
(1)ライフ分野
各論点どれも基本的な問題ばかりで、これらの問題で解答に苦労するようだと相当ヤバイ。
特筆する問題もありません。
得点できなかった人は学習不足というレベルではないことを認識してください。
(2)リスク分野
リスク分野も定番の問題でしたから解けた人は多かったと思います。
(3)金融分野
問41 |
景気動向指数において、完全失業率は、( )に採用されている。 |
1) 先行系列 |
2) 一致系列 |
3) 遅行系列 |
景気指数には様々なものがあります。
ニュースなどでよく耳にする代表的な指数(完全失業率や東証株価指数・有効求人倍率など)を中心に覚えてください。
(4)タックス分野
問20 |
所得税において、上場株式の配当に係る配当所得について申告分離課税を選択した場合、配当控除の適用を受けることができない。 |
配当所得や配当控除はなかなか難しい論点なので3級でも全体的な中身を覚えるようにするとどんな問題が出ても怖くありません。
2級への布石と言うかどの問題も「この程度の内容はしっかりと抑えて欲しい」という問題でした。
2級では今回で出た論点の細かい部分が出るので、まずは基本的な知識をしっかりと学習してください。
(5)不動産分野
不動産分野も定番の問題の中で簡単な部類のものが出ました。
ライフ分野同様この程度の問題で迷うようだとかなりヤバイ。
不動産分野は苦手としている人が多いが、きちんと学習すれば解きやすさは一番なので諦めないでください。
(6)相続分野
相続分野でも特に贈与関係の問題はしっかりと覚えてください。
贈与に関する論点は特例も含めて要件や数字を分かり易くまとめておくといいでしょう。
全体的に易しすぎて全問題がラッキー問題に近い内容でした。
このレベルで不合格になるようだと根本的な学習方法を見直さないとまた不合格になります。
2.実技
(1)金財(個人資産)
小規模企業共済や国民年金基金は、確定拠出年金と区別して覚えてください。
細かい数字などが問われるので混同しないようにしましょう。
全般的に税務に関する問題は、要件を問うものが多く出たと思います。
自分なりに分かり易くまとめたものを作るなどして覚えてください。
面倒臭く思ったらとことん面倒臭いと思ってやらなくなります。
覚えるための方法はたくさんありますが、自分の方法でいいですからものにしてください。
(2)FP協会(資産設計)
「FP資格が使えない資格」と言われるのはこういう問題を出すからだと思う。
問14 |
野村さんは、15年前に購入し、現在居住している自宅の土地および建物を売却する予定である。売却に係る状況が下記<資料>のとおりである場合、所得税における課税長期譲渡所得の金額として、正しいものはどれか。なお、記載のない事項については一切考慮しないものとする。 |
<資料> 譲渡価額(合計):6,000万円 取得費(合計):1,500万円 譲渡費用(合計):500万円 ※居住用財産を譲渡した場合の3,000万円特別控除の特例の適用を受けるものとする。 ※所得控除は考慮しないものとする。 |
1. 1,000万円 |
2. 1,500万円 |
3. 4,000万円 |
出た数字を単純に引き算していくだけの問題を出して何が身に付くのだろうか。
長期譲渡所得の論点なら所有期間や概算取得費、軽減税率など論点を問うものでないと意味がない。
単なる引き算をして「はい答えです」では到底実務では使えない。
受験者にはいいかもしれないが、全く実務では使えない問題を出していいのか甚だ疑問に感じる。
FP協会は本気で優秀なFPを育成する気があるのか、怒りを感じてしまう。
実務には全く役立たないキャッシュフロー表やバランスシートなんかの問題を出すのはやめたほうがいいと思う。
本当であれば顧客の相談に十分耐えうる知識を3級でも身に付けられるが、それが試験問題に反映されていないのがとても残念だ。
計算問題以外はほぼ学科の基礎的な問題だが、金財実技と比較して出題レベルは簡単だったと思う。
不動産分野が苦手な人はFP協会実技を選択する人が多いと思うが、簡単な問題も間違えやすい問題も配点が5点なのでイージーミスは許されない。
景気動向指数の系列問題はなかなか覚えられない人も多いのでしっかりと学習してください。
でも今回出たのだからまた少しブランクを置いて出そうです。
3.総評
全体的に学科・実技とも基本的な知識が問われました。
次回の試験から3級はCBT試験に完全移行します。
どんな問題が出るかは分かりません。
頻出問題だけをやれば合格できる保証はないですから、満遍なく学習する必要があります。
特に苦手な分野や論点は諦めずに学習しないと得点できないので、その克服も重要になります。
無用なヤマ張りも通用しません。
受験する時期によって出題レベルが変わるかもしれませんので、なるべく法改正に引っ掛かりにくい4月か5月、または7月あたりまでに受験するといいでしょう。