2FP試験論点整理 損害保険金を受け取った場合の圧縮記帳

 

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1.火災保険

国税庁のタックスアンサーではこのような見解になっています。
損害保険金を受け取る場合も、保険料の負担者や支払原因によって課税関係が異なってきますが、保険を掛けていた人が建物の焼失や身体の傷害・疾病を原因として受け取る保険金には、原則として課税されません。
しかし、例えば、事業者の店舗や商品が火災で焼失した場合、焼失した商品の損害保険金は事業収入(売上げ)になります。
また、焼失した店舗の損害保険金は店舗の損失額を計算する際に、差し引くことになります。

2.自動車保険

交通事故などのために、被害者が次のような治療費、慰謝料、損害賠償金などを受け取ったときは、これらの損害賠償金等は非課税となります。
ただし、これらの損害賠償金のうちに、その被害者の各種所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を補てんするための金額が含まれている場合には、その補てんされた金額に相当する部分については、各種所得の収入金額とされます。

(1)心身に加えられた損害について支払を受ける慰謝料など  

全体的には、事故による負傷について受ける治療費や慰謝料、それに負傷して働けないことによる収益の補償をする損害賠償金などです。
医療費控除を受ける場合は、支払った医療費の金額から差し引くことになります。しかし、その医療費を補てんし、なお余りがあっても他の医療費から差し引く必要はありません。 ただし、治療費として受け取った金額は、医療費を補てんする金額であるため、

(2)不法行為その他突発的な事故により資産に加えられた損害について受ける損害賠償金など        

商品の配送中の事故で使いものにならなくなった商品について損害賠償金などを受け取ったケース
棚卸資産の損害に対する損害賠償金などは、収入金額に代わる性質を持つものであり、非課税とはならず、事業所得の収入金額となります。

車両が店舗に飛び込んで損害を受けた場合で、その店舗の補修期間中に仮店舗を賃借するときの賃借料の補償として損害賠償金などを受け取ったケース
この損害賠償金などは、必要経費に算入される金額を補てんするためのものであり、非課税とはならず、事業所得の収入金額となります。

事故により事業用の車両を廃車とする場合で、その車両の損害について損害賠償金などを受け取ったケース
車両の損害に対する損害賠償金などは非課税となります。

ただし、車両について資産損失の金額を計算する場合は、損失額から損害賠償金などによって補てんされる部分の金額を差し引いて計算します。なお、この場合、損害賠償金などの金額がその損失額を超えたとしても、全額が非課税となります。

(3)心身又は資産に加えられた損害につき支払を受ける相当の見舞金

非課税となる見舞金は、社会通念上それにふさわしい金額のものに限られます。

また、収入金額に代わる性質を持つものや役務の対価となる性質を持つものは、非課税所得から除かれます。

3.傷害保険等

傷害保険等の支払いを受けた場合は非課税扱いになります。
なお保険金の受取人が被保険者本人、配偶者、直系血族、生計同一の親族の場合に限ります。

 

2級での論点整理

圧縮記帳は、補助金や保険金等を受け取り、利益が発生してもその会計処理を翌年度以降に繰り延べることができる制度です。

 

1.損害保険金を受け取った場合の圧縮記帳の条件

2.計算方法

(1)保険金等の支払いを受けた場合

(2)保険金等の支払いに代えて代替資産の交付を受けた場合

圧縮限度額

(交付を受けた時における代替資産の価額-滅失または損壊により支出する経費の額)-滅失または損壊した固定資産の被害直前の帳簿価額のうち被害部分に相当する金額

※計算例

本来であれば、保険金等により取得した代替資産の取得価額は3,000万円なので、その価額の元に減価償却費などを算出します。

しかしそれでは事業の再建における税負担が重過ぎるので、取得価額を圧縮して課税の繰り延べをすることが可能になります。

 

3.試験に出る論点

主に固定資産が滅失した場合に火災保険金を受け取った時の圧縮記帳が出ます。

 

保険金等で取得した固定資産等の圧縮記帳

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5608.htm