2FP試験強化論点・成年後見制度

 

202392級学科問54

法定後見制度

法定後見制度に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。

・ 法定後見制度は、本人の判断能力が( ア )に、家庭裁判所によって選任された成年後見人等が本人を法律的に支援する制度である。

・ 法定後見制度において、後見開始の審判がされたときは、その内容が( イ )される。

・ 成年後見人は、成年被後見人が行った法律行為について、原則として、( ウ )。

1.(ア)不十分になる前 (イ)戸籍に記載 (ウ)取り消すことができる

2.(ア)不十分になった後 (イ)登記 (ウ)取り消すことができる

3.(ア)不十分になった後 (イ)戸籍に記載 (ウ)取り消すことはできない

4.(ア)不十分になる前 (イ)登記 (ウ)取り消すことはできない

解説

2.(ア)不十分になった後 (イ)登記 (ウ)取り消すことができる

本人の判断能力の程度に応じて、「後見」、「保佐」、「補助」の3つの制度が用意されています。「後見」、「保佐」、「補助」の主な違いは、次の表のとおりです。

 

後見

保佐

補助

対象となる方

判断能力が欠けているのが通常の状態の方

判断能力が著しく不十分な方

判断能力が不十分な方

申立てをすることができる方

本人、配偶者、四親等内の親族、検察官、市町村長など(注1)

成年後見人等の同意が必要な行為

(注2)

民法13条1項所定の行為(注3)(注4)(注5)

申立ての範囲内で家庭裁判所が審判で定める「特定の法律行為」(民法13条1項所定の行為の一部)(注1)(注3)(注5)

取消しが可能な行為

日常生活に関する行為以外の行為(注2)

同上(注3)(注4)(注5)

同上(注3)(注5)

成年後見人等に与えられる代理権の範囲

財産に関するすべての法律行為

申立ての範囲内で家庭裁判所が審判で定める「特定の法律行為」(注3)

同左(注3)

(注1)

本人以外の方の申立てにより、保佐人に代理権を与える審判をする場合、本人の同意が必要になります。補助開始の審判や補助人に同意権・代理権を与える審判をする場合も同じです。

(注2)

成年被後見人が契約等の法律行為(日常生活に関する行為を除きます。)をした場合には、仮に成年後見人の同意があったとしても、後で取り消すことができます。

(注3)

民法13条1項では、借金、訴訟行為、相続の承認・放棄、新築・改築・増築などの行為が挙げられています。

(注4)

家庭裁判所の審判により、民法13条1項所定の行為以外についても、同意権・取消権の範囲とすることができます。

(注5)

日用品の購入など日常生活に関する行為は除かれます。

※法務省 成年後見制度・成年後見登記制度

【正解】2

 

201852級学科問54

法定後見制度

法定後見制度に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1.法定後見制度には、精神上の障害による本人の判断能力の程度によって、後見、保佐および補助の3種類の類型がある。

2.後見の開始の審判の申立てができる者は、本人、その配偶者またはその4親等内の親族に限られる。

3.成年後見人となるためには、弁護士や司法書士など一定の資格を有していなければならない。

4.成年後見人は、成年被後見人が行ったすべての行為について、取り消すことができる。

解説

1

成年後見制度には「後見」・「保佐」・「補助」の三つの制度があります。

成年後見制度は、認知症・知的障害・精神障害などの理由で判断能力の不十分な人に対して、不動産や預貯金など財産管理や各種契約を結んだり、遺産分割の協議等について、自分でこれらのことをするのが難しい場合があり、このような判断能力の不十分な人を保護し支援する制度です。

補助<保佐<後見の順で制限される範囲が広くなっていきます。

 

後見

保佐

補助

対象者

判断能力が欠けているのが通常の状態の人

判断能力が著しく不十分な人

判断能力が不十分な人

2×

精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者について、家庭裁判所に後見開始の審判を請求することができる者には、本人またはその配偶者のほか、本人の4親等内の親族のほか、検察官や市区町村長なども含まれます。

3×

成年後見人となるためには、弁護士や司法書士などの法律上定められた所定の資格を有していなくてもなれます。

4×

下記の事項について成年被後見人が自ら行った法律行為は取り消すことができます。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除きます。

・預貯金等の管理

・金銭を借り入れや保証人になること

・不動産等の契約に関する事項

・訴訟行為

・贈与・和解・仲裁合意に関する事項

・相続の承認・放棄・遺産分割に関する事項

・贈与・遺贈に関する事項

・新築・改築・増築や大修繕に関する事項

・一定の期間を超える賃貸借契約に関する事項

【正解】1

 

201812級学科問55

認知・自筆証書・成年被後見人・公正証書の証人

民法上の遺言に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1.遺言書に認知する旨の記載をすることによって、遺言者は子の認知をすることができる。

2.自筆証書によって遺言をするには、遺言者がその全文、日付および氏名を自書し、これに押印することが必要である。

3.成年被後見人が事理を弁識する能力を一時的に回復した場合には、医師2人以上の立会いがあれば、遺言をすることができる。

4.公正証書によって遺言をするには証人2人以上の立会いが必要であり、推定相続人は、その証人になることができる。

解説

1

認知の方法は戸籍の届出だけでなく遺言によってもできます。

2

その通り。

(自筆証書遺言)

第九百六十八条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

2 自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

3

成年被後見人が一時的に遺言作成可能な状態であれば、医師2名が立会いのもと遺言をすることができます。

4×

公正証書によって遺言をするには証人2人以上の立会いが必要ですが、推定相続人はその証人になることはできません。

【正解】4