2級FP試験強化論点・金融商品と税務
2023年9月2級学科問29 |
上場株式等の譲渡および配当等の税務 |
上場株式等の譲渡および配当等(一定の大口株主等が受けるものを除く)に係る所得税の課税等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、特定口座のうち、源泉徴収がされない口座を簡易申告口座といい、源泉徴収がされる口座を源泉徴収選択口座という。 |
1.上場株式等の配当等について、総合課税を選択して確定申告をした場合、上場株式等に係る譲渡損失の金額と損益通算することができる。 |
2.上場株式等に係る配当所得等の金額と損益通算してもなお控除しきれない上場株式等に係る譲渡損失の金額は、確定申告をすることにより、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる。 |
3.簡易申告口座では、源泉徴収選択口座と異なり、その年中における口座内の取引内容が記載された「特定口座年間取引報告書」が作成されないため、投資家自身でその年中の上場株式等に係る譲渡損益および配当等の金額を計算する必要がある。 |
4.年末調整の対象となる給与所得者が、医療費控除の適用を受けるために確定申告をする場合、源泉徴収選択口座における上場株式等に係る譲渡所得等および配当所得等についても申告しなければならない。 |
解説 |
1× 上場株式等を金融商品取引業者等を通じて売却したこと等により生じた損失の金額がある場合は、確定申告により、その年分の上場株式等の配当等に係る利子所得の金額及び配当所得の金額(上場株式等に係る配当所得については、申告分離課税を選択したものに限ります。)と損益通算ができます。 2○ 損益通算してもなお控除しきれない損失の金額については、翌年以後3年間にわたり、確定申告により上場株式等に係る譲渡所得等の金額及び上場株式等に係る配当所得等の金額から繰越控除することができます。 3× 居住者等が、金融商品取引業者等に特定口座を開設した場合(1金融商品取引業者等につき、1口座(ただし、課税未成年者口座として設けられた特定口座を除きます。)に限られます。)に、その特定口座内における上場株式等の譲渡による譲渡所得等の金額については、特定口座外で譲渡した他の株式等の譲渡による所得と区分して計算します。この計算は金融商品取引業者等が行いますので、金融商品取引業者等から送られる特定口座年間取引報告書により、簡便に申告(簡易申告口座の場合)を行うことができます。 また、特定口座内で生じる所得に対して源泉徴収することを選択した場合には、その特定口座における上場株式等の譲渡による所得は原則として、確定申告は不要です。 4× 特定上場株式等の配当所得等や上場株式等の譲渡所得等については、所得税と住民税があらかじめ源泉徴収(特別徴収)されるため、原則として確定申告は不要です。 申告不要制度適用・総合課税・申告分離課税の中から選択することになります。 |
【正解】2 |
2023年1月2級学科問28 |
上場株式等の税務 |
上場株式の譲渡および配当(一定の大口株主等が受けるものを除く)に係る税金に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、NISA(少額投資非課税制度)により投資 |
1.上場株式の配当について、総合課税を選択して確定申告をした場合、上場株式の譲渡損失の金額と損益通算することができる。 |
2.上場株式等に係る配当所得等の金額と損益通算してもなお控除しきれない上場株式の譲渡損失の金額は、確定申告をすることにより、翌年以後5年間にわたって繰り越すことができる。 |
3.NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税扱いにするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択しなければならない。 |
4.NISA口座で保有する上場株式を売却したことで生じた譲渡損失の金額は、確定申告をすることにより、特定口座内の上場株式の譲渡益の金額と通算することができる。 |
解説 |
1× 上場株式等に係る譲渡損失では、確定申告により、その年分の上場株式等の配当等に係る利子所得の金額及び配当所得の金額(上場株式等に係る配当所得については、申告分離課税を選択したものに限ります。)と損益通算ができます。 2× 損益通算してもなお控除しきれない損失の金額については、翌年以後3年間にわたり、確定申告により上場株式等に係る譲渡所得等の金額及び上場株式等に係る配当所得等の金額から繰越控除することができます。 3○ NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税にするためには、株式数比例配分方式を選択しなければならないのですが、配当金を配当金領収証方式(ゆうちょ)や登録配当金受領口座方式(銀行口座)を選択すると、非課税にならずに20.315%が源泉徴収されます。 4× NISA口座内で発生した譲渡損失は、他の一般口座や特定口座との損益通算はできません。 そもそもNISA口座は、譲渡益や配当金を非課税にする特別なアカウントなので、他の口座との損益通算を認めればNISA口座と一般口座や特定口座を分けた意味がなくなります。 |
【正解】 3 |
2019年1月2級学科問29 |
上場株式等の配当および譲渡に係る税務 |
上場株式等の配当および譲渡に係る税金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 |
1.上場株式等の配当所得(一定の大口株主等が受ける配当に係る所得を除く)について、確定申告をする場合、総合課税に代えて申告分離課税を選択することができる。 |
2.上場株式等の配当所得(一定の大口株主等が受ける配当に係る所得を除く)について、総合課税を選択する場合、上場株式等の譲渡損失の金額と損益通算することができる。 |
3.上場株式等の譲渡損失の金額は、特定公社債等の利子等に係る利子所得と損益通算することができる。 |
4.損益通算してもなお控除しきれない上場株式等の譲渡損失の金額は、確定申告をすることにより、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる。 |
解説 |
1○ 上場株式の配当金は原則として総合課税の対象ですが、申告分離課税や確定申告不要制度も選択できます。申告分離課税や確定申告不要制度を選択すると確定申告の際に配当控除が適用されません。 2× 上場株式等を金融商品取引業者等を通じて売却したこと等により生じた損失の金額がある場合は、確定申告により、その年分の上場株式等の配当等に係る利子所得の金額及び配当所得の金額(上場株式等に係る配当所得については、申告分離課税を選択したものに限ります。)と損益通算ができます。 3○ 特定公社債等とは、国債、地方債、外国国債、外国地方債、公募公社債、上場公社債等が該当します。 上場株式等との損益通算や譲渡損失の繰越が可能になりました。 4○ 損益通算してもなお控除しきれない損失の金額については、翌年以後3年間にわたり、確定申告により上場株式等に係る譲渡所得等の金額及び上場株式等に係る配当所得等の金額から繰越控除することができます。 |
【正解】2 |
2018年9月2級学科問28 |
上場株式の配当金・上場株式等の譲渡損失・外貨預金・特定公社債等の譲渡所得 |
個人による金融商品取引に係る所得税の取扱いに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 |
1.上場株式の配当金について申告分離課税を選択して確定申告をした場合、配当控除の適用を受けることができる。 |
2.上場株式等の譲渡損失を翌年以降に繰り越すためには、特定口座の源泉徴収選択口座を選択している場合であっても、確定申告をしなければならない。 |
3.外貨預金の預入時に為替先物予約を締結した場合、満期時に生じた為替差益は、源泉分離課税の対象となる。 |
4.特定公社債等の譲渡所得については、申告分離課税の対象とされている。 |
解説 |
1× 上場株式の配当金について、申告分離課税を選択した場合は、配当控除の適用を受けることはできません。 2○ 上場株式等を金融商品取引業者等を通じて売却したこと等により生じた損失の金額がある場合は、確定申告により、その年分の上場株式等の配当等に係る利子所得の金額及び配当所得の金額(上場株式等に係る配当所得については、申告分離課税を選択したものに限ります。)と損益通算ができます。また、損益通算してもなお控除しきれない損失の金額については、翌年以後3年間にわたり、確定申告により上場株式等に係る譲渡所得等の金額及び上場株式等に係る配当所得等の金額から繰越控除することができます。 3○ 外貨預金の税務は、利子と為替差益の両方に課税され、20.315%の源泉分離課税です。 外貨預金では満期時に円に換金する際、購入時よりも円安になっていれば為替差益が得られ、円高になっていれば為替差損が発生します。 為替先物予約を締結し、満期時の為替レートを決めておくと、為替変動リスクを回避することが期待できます。 4○ 特定公社債等とは、国債、地方債、外国国債、外国地方債、公募公社債、上場公社債等が該当します。 上場株式等との損益通算や譲渡損失の繰越が可能になりました。 |
【正解】1 |
2016年1月2級学科問29 |
外貨預金の課税関係 |
国内の金融機関に預け入れられた外貨預金の課税関係に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。 |
1.外貨預金の利息は、円貨預金の利息と同様に、源泉分離課税の対象となる。 |
2.外貨預金の預入時に為替先物予約を締結した場合、満期時に生じた為替差益は、源泉分離課税の対象となる。 |
3.外貨預金の預入時に為替先物予約を締結しなかった場合、満期時の元本部分に係る為替差益は、雑所得として総合課税の対象となる。 |
4.外貨預金の満期時において為替差損が生じた場合、確定申告することにより、外国株式の譲渡所得の金額と損益通算することができる。 |
解説 |
1○ 外貨預金は日本円を銀行に預けているときと同じく、利息に対して一律20.315%の税金がかかります。また源泉分離課税の対象なので確定申告は必要ありません。 2○ 満期や解約をしたときに為替差益が発生した場合は、雑所得として源泉分離課税の対象となります。 3○ その通り。 4× 為替差損は他の黒字の雑所得から控除することができますが、他の所得区分(不動産所得、譲渡所得など)との損益通算はできません。 外貨預金は利息と為替差損益の発生よって課税方法が異なります。 ・為替差益が発生した場合は雑所得となり、確定申告による総合課税の対象となりますが、年収2,000万円以下の給与所得者で 為替差益を含めた給与以外の所得が年間20万円以下であれば確定申告は不要です。 ・為替差損が発生した場合は原則として非課税ですが、他の雑所得の利益と相殺して利益があれば確定申告が必要になります。 |
【正解】4 |