こんにちは
小児アレルギー科医の堀向です。
私は毎日のように、
外来でさまざまな病気のお子さんたちを診療している小児科医の1人です。
自己紹介は、この記事です。さまざまな医学雑誌や医学専門サイトで記事を書いています。
さて、それはさておき…
冬の時期は特に、「かぜ」のお子さんが増えてきますよね。
「子どもが新型コロナにかからないためには、
どんな食事がいいですか?」
という質問を受けることも少なくありません。
しかし、特定の栄養素で新型コロナウイルス感染症にかかるリスクを減らそうという研究のデータは多くはありません。
そんなこともあって、最近、医学情報専門サイト『メディカルノート』で、最近の研究結果をまとめました
くわしくは元の記事を読んでいただければと思いますが、
ここでは、
かんたんにまとめますね。
ビタミンCは、子どもの風邪の予防に有効ですか?
ビタミンCが風邪の予防に効果があるかを研究した、多くの報告をまとめた結果…
『ビタミンCによる風邪の予防効果は認められない』という結果。
一方で、風邪の期間は1.6日短くなったそうです(*6)。
つまり、ビタミンCで風邪予防はできませんが、「風邪の期間を短くするのに多少意味があるかも」程度ですね。
ビタミンDは、かぜの予防に有効ですか?
「ビタミンDに関する研究結果はさまざまで、
「効果がある」というものと
「効果がない」というものが
入り交じっています。
25研究(対象人数計1万1321人)をまとめた結果…
ビタミンDを内服すると急性の呼吸器感染症の発症リスクを12%低下させたという結果でした。
でも…
「12%」=約8人に1人ですから、ビタミンDも「多少」効果があるかも、くらいですね。
プロバイオティクス(乳酸菌)の効果は?
最近よく見かけるのが、
乳酸菌製剤やヨーグルトなどのCMです。
乳酸菌は『プロバイオティクス』という菌の一種です。
免疫的な調整をするはたらきがあると考えられています。
プロバイオティクスが、
風邪を含む呼吸器の感染症の予防効果があるかどうかを検討した研究をまとめると…
プロバイオティクスを内服したグループは、
少なくとも1回の急性呼吸器感染症にかかるリスクが11%減ったという結果でした。
でも…効果があると言っても、まあ大したことはなさそうです…
あとは、研究の問題点として指摘されるのは、
プロバイオティクスの種類、内服方法、内服量などが研究ごとにばらばらで、何を内服すればよいのかがはっきり言いにくいことです。
ですので、「○○菌が効く」というCMに関しては、
やや話半分に聞いたほうがいいでしょう
でも普段の食生活にヨーグルトを積極的に取り入れるなどする程度はしてもよいかもしれませんね。
ビタミンCやD、乳酸菌より有効なのは……
さて、ビタミンC、ビタミンD、プロバイオティクスとご紹介してきましたが…
実はもっと効果がはっきり出やすい方法があります。
それは「しっかりした睡眠」です。
実際に睡眠時間と実際にベッドで寝ていた時間(睡眠効率)を確認し、
風邪の原因としてもっとも多いライノウイルスに実際に感染させて(こんな研究よくやるな…)
風邪症状を発症するかどうかをみたという大変な方法で行われた研究があります。
すると、睡眠時間が7時間未満だと…
8時間以上の睡眠をしている人に比べて2.94倍も風邪をひく可能性が高くなり、
そして睡眠効率が92%未満だと、98%以上に比較して5.50倍も風邪をひくリスクが高くなったのだそうです。
相当な差ですよね
結論としては、「これを内服していれば感染しない」ではなく、
適度に運動をして睡眠を十分に取り、バランスのよい食事をするという、
しごく当たり前の“健康的な生活習慣“が、
風邪や新型コロナ感染を避けるために重要なのではないかなということでしょう。
まだしばらくは、コロナ禍が続くと思われます。
3密を避けてマスクを適切にし、
手洗いをしつつ、
そして無理をせず感染リスクを減らす活動が続けられたらと思います。
本を書いています