こんにちはpedcardです。

 

今日からは数回に分けて外来通院のコツについて触れてみたいと思います。

 

外来で色々な検査をして、担当の先生はカルテに色々書いているのに、どこを評価しているのかわからず、毎回の様に検査を受けたことってありませんか?

 

私たちも一人一人の患者さんに丁寧に説明をしたいと思っていますが、横にドンドン積み重なっていく診察待ちカルテの山に恐れおののき、思わず早口になってしまうことがあります。外来で他の先生が担当している患者さんを入院時に担当する時などに、「外来担当の先生はお忙しそうで、なかなか質問できなくて」とか「検査はしてもらっているからうちの子は大丈夫だと思っているんだけど、この検査で何がわかるんだろうって思っている」とかのコメントをいただくと、自分もきっと同じように自分の外来患者さんに気を遣わせてしまっているんだろうなと反省します。

 

そんな患者さんは世の中にたくさんいらっしゃると思うので、検査の見方・ポイントをまとめたいと思います。これまでのブログ記事と同様に、全ての患者さんに当てはまることではないので、主治医の先生に確認してもらうことが大切なのは言うまでもありませんのであしからず。では行ってみましょう。

 

(1) 胸部レントゲン検査

 

「心胸郭比(CTR)を見よう!」

 

[用語名:日本語]

心胸郭比

 

[用語名:英語]

cardio-thoracic ratio

 

[略語]

CTR(シーティーアール)

[意味・測定方法]

心臓と胸郭(体幹)の横幅の比率をみることを心胸郭比(CTR)といいます。心疾患の場合、大人も子どもも、基本的にはその比率が小さいほど良い、大きいほど悪い傾向があります。図の様に、背骨を真ん中にして、身体の幅と心臓の大きさの比率を見ます。

 

大抵レントゲン検査を行うと、担当の先生のカルテにCTR:何%とかって書いてあります。これが大切です。

 

ただし、全ての医療系検査に当てはまることですが、

 

「この検査って、私(うちの子)にとって、どれくらいがちょうど良いんですか?」

 

って聞いてみてください。先天性心疾患の患者さんの場合、手術したとしても、もともとの先天性心疾患の性質があるため、正常な比率にならない場合があります。大切なのはお子さんのこれまでの経過から見た変化です。代表的なのはファロー四徴ですが、心臓の先端が左側を向くので、正常構造の方が左下を向くのと比べると絶対に大きくなります。

 

また乳幼児と高齢者は心臓の比率が大きめなので、仮に心疾患を持っていない正常構造の方でも、赤ちゃんで55%であれば正常のことが多いですが、成人だと同じ55%でも心拡大が疑われ精密検査を勧められたりします。いわゆる成人の場合は50%未満が1つの指標になります。

 

また呼吸にも影響を受けます。健康診断で、「大きく息を吸って、止めてください。パシャ」って検査を受けた覚えはありませんか?図の様に心臓の周りには肺があるため、息を吸えば、胸郭は大きくなりますし、息を吐けば胸郭は小さくなりますね。お子さんの場合は息を止められないので、数値が変動します。そのため前回よりCTRの数値が大きくても、横隔膜の位置などで息を吐いたときだなと思うと次回まで様子を見ましょうってなることもあります。

 

このようにややブレのあるデータにはなりますが、株価の変動の様に、長い時間をかけて悪いほうに向かうのか、良いほうに向かうのかの指標にもなります。もちろん放射線を使う検査なので、被爆を伴うことは意識しなければいけません。しかし、近年被曝量はどんどん減ってきていますので、繰り返し受けて頂いて、長期的な心臓の状態を把握する指標として価値のあるものです。

 

なので48%であっても、

 

前回48%だった人にとっては現状維持だね。

前回50%だった人にとっては現状維持、もしかしたらちょっと良くなっているかもね。

前回43%だった人にとってはもしかしたら何か悪くなっているかもね。検査を追加しましょう、とか次回の外来・検査はちょっと早めにしようかな。

 

なんて評価します。

 

もちろん担当の先生は一枚のレントゲン写真から色々な指標や所見を見ています。でも心疾患のフォローとしてレントゲンで最も大切な指標であるCTRを知れば、次回からの外来受診の時に担当の先生がどんなふうにして心機能を評価してくれているのかの一端が見えるかもしれませんね。

 

まとめ

・CTRは心臓と身体の幅の比率

・一般的には大きいほうが悪い

・成人の正常は50%未満

・乳幼児と高齢者は大きいのが普通

・心疾患によっては手術しても大きいまま

・大切なのは正常との差ではなく、過去の自分との差

・呼吸によっても大小ある

・長期的な評価に有効

 

ではまた。