3/7(火)、私は川崎市社協・川崎市が主催した「市民向け成年後見制度研修」に参加しました。
私はZOOMで参加しましたが、ZOOM参加者は26~29名でした。
会場で何人参加していたかは、映らなかったので不明です。
今回の講師は、神奈川県弁護士会川崎支部の池田 博毅(いけだ ひろき)弁護士でした。
池田弁護士は、川崎区の法律事務所、川崎ひかり法律事務所に所属しており、
後見業務の経験は、今まで40~50人程度の受任しており、
現在も、「手持ちを15~20件キープ」(本人談)しているそうです。
また、池田弁護士いわく、”事務員は「後見事務報告書の作成もできる」ぐらいとても優秀だそうですが、任意後見制度についてはよくわかっていない”そうです。
→後見人として選任されているのは、池田弁護士本人でしょうから、後見事務報告書の作成を、後見人ではない事務員にやってもらうのは、本当はどうなんだろう?と思います。
実際、私の前の後見人(司法書士)も、後見事務報告書の筆跡が明らかに異なる部分もありましたので、事務員が作っていたと思われますので、忙しい専門職の代わりに、報告書作成するのは常態化しているものと思います。
今回のチラシには、こう書いてあります。
今回は、将来に備えてあらかじめ成年後見人を決めておく「任意後見制度」を中心に制度の概要を理解する研修を行います。
ですが、テキストを見ると、テキスト24枚中、1枚目から20枚目は法定後見制度の説明となっており、任意後見制度の説明は、たった4枚しかありません。
これについて、池田弁護士は、「任意後見制度を知ってもらうためにはまず法定後見を知っていただく必要がある」と言い訳をして説明して、「法定後見の部分は駆け足で説明しますので、任意後見制度に多くの時間を割きます」と説明していました。
と言いつつ、実際には、説明の時間90分のうち、法定後見制度の説明を60分行い、任意後見制度はたった30分だけでした。
今回の配布資料は、とても大量でした。
成年後見制度の概要(池田弁護士の資料) 24ページ
資料1 後見(補佐、補助)開始の申立ての手引き(横浜家庭裁判所) 25ページ
資料2 申立準備チェックシート(横浜家庭裁判所) 1ページ
資料3 後見開始等申立書・申立事情説明書・後見人等候補者事情説明書・財産目録・相続財産目録・収支予定表・親族関係図・親族の意見書 26ページ
資料4 診断書をご準備ください(本人情報シート・診断書・鑑定についての照会書)11ページ
資料5 登記されていないことの証明申請書 2ページ
資料6 成年後見人 Q&A・資料編・定期報告書類一式 70ページぐらい
資料7 成年後見人等の報酬額のめやす(横浜家庭裁判所) 1ページ
成年後見制度-利用をお考えのあなたへ-(家庭裁判所パンフレット)
知っていますか?成年後見制度(川崎市パンフレット)
もう明日にも、家庭裁判所に成年後見の申立ての準備ができるぐらい、揃っています(笑)
※実際は、医師の診断書を取ったり、本人情報シートを書いてもらうことが必要なので
この用紙があってもすぐには無理ですが。。。
ZOOM参加者には、事前に印刷してホチキス止めして、郵送していますし、
会場参加者にも、事前に印刷してホチキス止めして配布しているはずなので、
めちゃくちゃ準備が大変だったろうなぁと、「川崎市社協の皆さん、総出でやっただろうし、ほんとお疲れ様です!」と言いたいぐらいです。
■説明の中で気になった点
・「誰が後見人になるのか」というスライドの中で、スライドには記載していませんが、
池田弁護士は、本人の流動資産(現金・預貯金)が3000万円を越える方は、まず第三者後見人が選任されると説明していました。
スライドに記載していなかったのは、スライドに記載すると「その部分だけ独り歩きするから」だそうですが、スライドに記載していなくても、同じだと思います。。。
・「後見人の職務」というスライドの中で、「財産管理に関する事務とは、毎日の支払いと入金を確認したり、賃貸アパートを所有している人ならかちん収入がきちんと入金されているかチェックすることだ」と説明していました。
→これって、通帳を記帳することだと思いますが、毎日のように記帳している後見人はいませんし、また池田弁護士の事務所では後見事務報告書は事務員が作成するそうですので、
池田弁護士は何をするんだろう?と思いました。。。
・「家裁への報告」スライドの中で、「(報酬付与申立)」とかっこつきで説明していました。
これは、親族後見人の場合は報酬をもらわない人が多いからです、と説明していました。
また報酬は弁護士だから高いということはない、社会福祉士さんでも市民後見人でも同じことをすれば同じ金額を報酬をもらえるという説明をしていました。
→池田弁護士は、川崎市の市民後見人は報酬付与申立てができないことを知らなかった(市民後見人養成研修の講師を務めたことがない)様です。
・「任意後見制度の時間の流れ」というスライドの中で、任意後見制度で任意後見監督人が必須となっている理由を、「本人が選んだ任意後見人が不正をしても、本人は気づけないので、監督人を必ず選任する仕組みになっている」と説明していました。
→後見人が不正をしても気づけないのは、法定後見(特に後見類型)でも同じことなので、
本人が気づけないから、監督人をつけなきゃいけないという理屈は成立しません。
法定後見制度では家庭裁判所が監督をしているので、任意後見制度でも同様に監督人をつけず家庭裁判所が監督すればそれで安心になる、じゃないか、という論理ならわかります。
しかし、実際は家庭裁判所の監督は、人員不足で十分な監督ができているとは思いませんので、家庭裁判所が任意後見人も監督することには、個人的には反対です。
・池田弁護士が任意後見監督人をやっている事案では、「3ヶ月に一度」、任意後見人から報告してもらっているそうです。ただしこの「3ヶ月に一度」なのか、「6ヶ月に一度なのか」は、
時と場合によって変えているそうです。
池田弁護士の説明の後は、10分間休憩がありました。
この10分間の休憩の間に、会場では紙で質問を集めて、ZOOMではチャットで質問を受け付けていました。
休憩の後は、質疑応答「あなたの質問に弁護士がお答えします」が行われました。
詳しくは、次の記事「3/7 市民向け成年後見制度研修の質疑応答」に続きます。