みなさんは以下の記事を読んで、どう感じますでしょうか?

「ぼけますから、よろしくお願いします。」 認知症になっても続く「正解のない日常」、娘が映画にした理由

 

この映画を作ったのは、フリーディレクターの信友直子さんです。

読者のみなさんの中には、「あぁ、あの?」と思った人もいらっしゃるかもしれません

もしそうなら、記憶力がすごいです。

以前私は、フジテレビのMr.サンデーの特集について記事を書いていました。

Mr.サンデー 娘が撮った母の認知症

 

私の第一印象は、「うちと同じだ」でした。

私の親も、「子供の世話になりたくない」と言い、「夫婦どちらかが死んだら施設に入る」と言っていました。

 

私の母親も、「知らない他人が家に入ること」を拒否しました。

父親がアルツハイマー型認知症になり、介護保険を利用するようになり、訪問看護(ヘルパーさん)を呼ぶようにしたのですが、母親は「必要ありません!」と言い、ヘルパーさんを家に入れませんでした。

事前にヘルパーさんを頼んだことは、母親も了承していましたが、記憶障害なので「聞いていない、了承していない」と言います。

さらには、年末年始で実家に帰った私を、母親は「いつまでいるのか?早く出ていけ!」と言ったこともありました。

 

信友直子さんは、横浜で住んでいて、広島県呉市の実家には、高齢の両親(母89歳、父97歳)が住んでいます。

 

信友さんの母親が認知症になったため、父親は90歳を過ぎてから家事をするようになりました。

Mr.サンデーでも、父親が買い物している様子が映っていました。

でも、途中疲れて休まないといけないのです。だって90歳過ぎているのですから。

 

「娘さんは、今すぐにでも"介護離職"して実家に戻るべき」という意見の方もいるでしょう。

「助けてもらうことは負い目ではない。サービスを利用するのは本人のためだけでなく、家族のためでもある。介護保険サービスをうまく使っていったらいいのに」という意見の方もいるでしょう。

家族、介護にはいろんな形があります。十人十色ですので、これが正解というものはありません。

人の数だけ、答えはあります。

 

信友直子さんのお母さんのように、認知症の方は、「何かおかしい」と気づいています。

娘さんの前だからこそ、何かおかしいと告白したのでしょう。

他人の前では、元気なふりをすることもあります。それが介護認定の難しいところです。

介護保険を利用するときには、調査員がやってきて、いろいろ質問をします。

ご本人が「まだ大丈夫だ、問題ない」と思っている場合は、正直に答えません。

逆もあります。介護認定をもらいたいために、耳が聞こえないふりをしたり、寝たきりで動けないふりをする人もいます。

なので、調査員は、家族の方にも聞きます。

家族の方は、本人の普段の様子を答えることができるように、普段からメモしておくといいでしょう。

 

信友直子さんは、仕事を続けながら、時々実家に帰っています。

認知症の一番のリスクは、「加齢」です。長生きすれば誰でもなる可能性があります。

逆に言えば、「認知症になった=ご長寿おめでとうございます」なのです。

 

信友さんは一人っ子で独身ですが、"1人"ではありません。

信友さんには、ケアマネさんという、いつでも相談に乗ってくれる味方がいます。

そして、両親の様子をビデオを撮り、Mr.サンデーなどで放送した影響で、近所の人たちが両親を見守ってくれるようになりました。近所の人たちも味方になっているのです。

他にも、町内会・自治会の人や、民生委員さんは、頼めば見守りをしてくれます。

さらには、認知症サポーター、地域包括支援センター、社会福祉協議会、医療関係者、うちの会のようなボランティア団体、家族の会など、相談や愚痴を聞いてくれる人や団体がいます。

 

介護は「いつまで続くかわからないもの」だから、絶対一人で抱え込んではダメです。

介護保険サービスをうまく使い、"プロ"に任せることができる部分はプロに任せて、その他の部分を家族がしたほうが良いと思います。

 

ドキュメンタリー映画『ぼけますから、よろしくお願いします。』は、11月3日より公開予定です。