*本* 緋の河☆桜木紫乃 | 。+゚定禅寺大学2年生゚.:。+゚

。+゚定禅寺大学2年生゚.:。+゚

夫の赴任先仙台から地元に戻り、英語のプロを目指してがんばっているアラフィフ主婦です。



オネエタレントのパイオニア、カルーセル麻紀さんを主人公のモデルにした小説です。

もっとドロドロした夜の話なのかと思いきや、半分は釧路での子供時代の話で、爽やかなスタンド・バイ・ミーのような要素もあり、とにかく楽しめました。

生まれつき女の子の心を持って生まれてきた男の体。それを疑問に思うこともなく、自分に正直に生きることは、強がっているように見えても中々出来ることじゃない。
かっこいいです。

登場するゲイバーで働くおねえさんたちも筋が一本通っていて、堂々としていて、それでいて面倒見が良くて、人間として魅力のある人ばかり。

どんな体で生まれてきても、どんな心で生まれてきても、同じ人間。
自分の欲望に正直に、人生を楽しんだ人が勝ち。
カルーセル麻紀さんに教えてもらいました。

***「言いたいやつには言わしておくの。嫉みなんて、こっちが持たなきゃただの追い風よ」(P.141)

「部活は自分部、よろしくね」(P.195)

自分が言ったのだから、自分が責任を取る。これが自分部の到達点。(P.205)
***

***
男として生まれた。
でも、きれいな女の人になりたいな―。
蔑みの視線―。
親も先生も、誰に何を言われても関係ない。
「どうせなるのなら、この世にないものにおなりよ」その言葉が、糧になった。
生まれたからには、自分の生きたいように、生きてやる。
リスペクトがあるからこそ、想像力のリミッターを解除できた。
事実と虚構の化学反応が生み出す、過酷で、美しく、孤独で、切なく、劇的で、潔く、笑えて、泣ける、ザッツ・エンターテインメント!

☆☆☆☆
「緋の河」
桜木 紫乃 著
新潮社
20190625