カラスのカー君 第1話 | がらくた通り3丁目

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人にとってはまるで無価値。それも一個人の形成には不可欠。自我の源泉をたどる旅。おつきあい頂けたら幸いです。

ねぇ父さん
友達ってどうやったら作れるの?

そんなの簡単だよ。
笑顔でいればいいんだ。
どんな時でも笑顔でいれば
友達なんかじきにできるもんさ。


カ〜カ〜♪
なんだ〜このカラスうるさいな〜!
シッシッ!
あっちへ行け!!!

ハッハッハッハッ
きっとこのカラスは
アー君と友達になりたいんじゃないのか〜?
ほ〜〜ら夕焼がきれいだ
カラスが鳴くから帰るぞ〜〜。

地平線から半分だけ顔を出す
オレンジ色に熟した太陽を背景にした世界は
電信柱もお家も煙突も真っ黒。

トントントントン
親子の二つのノッポな影は
どこかのお家から聞こえてくる
夕飯の支度をBGMにしながら
沈みゆく太陽の中に吸い込まれていきました。

カ〜カ〜♪
追っ払われたカラスは
少しばかり離れた木の枝にとまり
幸せ色の影をいつまでも眺めていました。



カ〜カ〜♪
やがて夜になりました。
山奥のねぐらに戻ったカラスのカー君。
でもお父さんもお母さんもいません。
オオタカに狙われた我が子をかばって
死んでしまったのでした。

今日の夜は特に寒いな〜。
それもそのはず
お空のはるか上から雪が降ってきました。
アー君はお父さんに抱っこされて
眠っているのかな?
ひとりぼっちのカー君は
お父さんに抱っこされながら
暖かいフカフカのベッドで寝るアー君を想像して
ひとり震えながら
眠たくなってきたな〜〜。
いつのまにかウトウトしていました。

カー君、カー君
誰かが僕を呼んでいる。
薄れる意識の中
一生懸命まぶたを開けようとすると
真夏の太陽のような眩しい光が眼前に広がり
声はその光の中心から聞こえてきました。

誰?誰なの?

ワシは「命の番人」じゃ。
どうして人間の親子に
そんなに興味があるのじゃ?

人間の親子に
興味があるわけじゃないんだ。
アー君見てたら
父さんのこと思いだしただけさ。

笑顔でいたら友達なんかすぐにできるよ。
父さんは僕に言ってたんだ。
だから一生懸命笑顔で鳴いたんだけど
アー君にはわかってもらえなかった。
それに…

それになんじゃ?