

これお前にやるよ。
もう4年前かな?
レスポールを一本だけ下の子に譲った。
1986年製のレスポール59リシュー。
あの子が高校の学園祭で
バンドのギタリストとして
出るって言ったからだ。
僕には息子が二人いるけど
自分がギター弾いているからって
子供たちにギターを弾かせるってことは
してこなかった。
好きなことは
自分で見つければいいと思ったから
一度も強要したことはない。
だから上の子は
まったくギターに見向きもしない
でも歌は好きなようだ。
ヒマさえあれば歌っているし
部屋からは絶えず
J-popらしき曲がもれてくる。
しかし下の子は違った。
小学生のころいきなり
20世紀少年の主題歌
T.Rexの20th Century Boyの
弾き方教えてほしいと言って来た。
お〜〜!お前もついにロックに目覚めたか!
僕は心の中でとても喜んだ。
そこでZo-3を買い与え教えてやったのだが
2〜3日もすればもうマスターしてた。
小学生って凄いもんだな〜
初心者のくせにその上達の早さに
舌を巻いたもんだった。
そしてなぜかあの子ったら
Zo-3をソフト・ケースに入れて
それを携帯して小学校に通ってた。
きっとたまに見かけるであろう
通りすがりのアマチュアバンドマンの
真似をしたかったのだろう。
でもそれも一時だけだった。
ギターを弾かなくなった。
僕はちょっと残念だったけど
あの子の感性を大切にしたかったので
何も言わなかった。
それから8年ばかり経ったころだ
なぜか高校の学園祭のステージに
立つことになった。
僕はこれがきっかけで
ギターをずっと続けることに
なればいいな〜って
内心喜んでいたのだが
学祭のあとはまったくギターを弾かなくなり
今は絵に興味があって絵ばかり描いている。
この間タブレットも購入して
ますます絵にのめり込んでいってる。
また僕の元にこのギターが戻ってきた。
1986年製のレスポール59リシューを抱えた
当時のあの子のステージ写真が一枚
彼の部屋の写真立てに
今も誇らしげにたたずんでいる。
