運動が好きな子は
野球選手になりたい。
サッカー選手になりたい。
絵が好きな子だったら
画家になりたい。
pecoの夢はなんだったんだろう?
小さい時はとうさんの家業の後継ぎだった。
とうさんは帽子の問屋さんだった。
pecoはとうさんの後をついて歩くのが
好きだった。
仕入れの時も年に2回だったが
東京までちゃっかりついて行ったし
用品店に帽子の卸のある時は
一緒に車に乗って遠くへも行った。
ちょっとした旅行気分だった。
とうさんが出張に出掛ける時には
帽子がいくつも重なって入るような作りの
直系40cm高さ1mほどの
筒型のショルダーバッグを背中にしょっていた。
とうさんはこれを「てっぽう」と呼んでいた。
つば広のハット帽を被り
「てっぽう」をしょって出掛けるその姿が
pecoの目には誇らしく映ったもんだった。
出張から帰ってきて帳面をつける時は
自宅の狭い三畳間の
ウォーク・イン・クローゼットが
いつのまにかとうさんの仕事部屋となっていた。
「てっぽう」を部屋の端において
机に向かって夜中まで仕事をしていた。
そんな後ろ姿を「てっぽう」は
いつも無言で見ていたにちがいない。
商売が順調な時はよかったのだが
pecoが大きくなった時には
店をたたんでしまった。
pecoの夢はここで消えた。
とうさんはpecoに言った。
商売はダメだ。
お前が好きなことを目指しなさい。
勉強頑張るのもいい。
でも頭のいい人はたくさんいる
それよりもお前だからこそ出来る何か
そんなものを目指しなさい。
ある雨の日
とうさんは死んでしまった。
pecoが将来を決めて歩き出したのを見届けて
安心したかのように息をひきとった。
とうさんの後ろ姿を見て育ったpecoは
とうさんの死を受けいれられなかった。
三畳間の仕事机がきれいに整頓されている。
几帳面だったとうさんらしい。
静かだ。
世界が呼吸を止めたみたいだ。
三畳間の小さな窓を開けてみる
小鳥のさえずりと
4月の淡い午後の光が射し込んでくる。
今日は日曜日。
遠くの子供たちの遊び声が
かすかに三畳間に飛び込んでくる。
ふと眼下に目をやる。
とうさんが「てっぽう」をかついで
出張に出掛けるため車に乗り込む姿が見える。
子供だったころのpecoが
玄関先でとうさんに一緒に連れて行けとせがんでいる。
もういいかい。ま〜だだよ。
夢でも見てたのか
遠くの子供たちの声が現実に引き戻す。
後方にふと視線を感じて振り返る。
「てっぽう」が無言で
主のいない机をジッと見つめていた。
とうさんは「てっぽう」と僕を置いて
ひとりで出張に行ってしまったんだな。

昨日新しい曲のギターパートを
弾いてみました。
まだ覚えきってないのと練習不足のため
通して弾くのはなかなか大変。
ふらつきもありますが
どんな感じの曲かくらいは
わかっていただけると思います。
明日公開させていただきます。
ぜひご覧ください♪