アコギを構えて自然に口ずさむ歌は
中学の時好きだったフォーク。
40年以上前の曲だ。
30年以上アコギから離れていたし
レコード持っててもどうせもう聴かないし
第一再生装置もない
全部処分してしまった。
でもなぜか楽譜だけは数冊処分しただけで
まだ手元に残っている。
たまに開いてみると
中学の時の僕の筆跡が残っている。
当時はまだTAB譜なんて存在してなかったから
楽譜にドレミ表記している。
あぁこうやってコピーしてたんだな〜。
そうだそうだ。想いだした。
あの時も一筆書いたんだっけ。
中3当時付き合っていた彼女がいた。
付き合っていたといっても
ほんの半年くらいだったけど
あの時の半年ってとてつもなく長かったな。
ギターはじめてまだ1年にも満たないころ
僕らは学祭の準備をしていた。
はじめてステージで演奏するためだ。
僕は数組のバンドのなか
なぜかWingsなんかをやる
バンドに属していた。
はじめて「Jet」を聴いたのもこの時。
オ〜!このイントロかっこいいな!
なんて感動したもんだ。
そんな僕らに興味を持っていた娘がいた。
ピアノが上手で合唱部に所属していた
勉強のよくできた娘。
驚くほど礼儀の正しい娘だった。
練習のぞきに部屋に入ってくる時も
ドアを開けたら必ず深々とおじぎをする。
出て行く時も同様だった。
僕はその娘もバンドに誘った。
そのうち彼女が南こうせつとイルカが
好きなんだと知った。
それならば
僕は彼女を連れ出してこのバンドを飛び出し
別のフォーク・グループに加わっていた。
そのうち練習とは別に
放課後二人で音楽室にこもることが
多くなってきた。
窓から西日がこぼれるころ
二人で同じ夕日をながめながら
ギターを弾き同じ唄を歌っていた。
楽譜に残された筆跡はこの時のものだ
僕は風の正やんが好きだったけど
こうせつ好きな彼女のため
僕は南こうせつになる決心をした。
無事学祭が終わると受験シーズン。
二人一緒同じ高校に行く約束をした。
何度か図書館で一緒に勉強もした。
枯れ葉がカサカサ音を立てて舞う季節の中
同じ坂道を同じ足取りで歩いた。
ずっと一緒だと思っていた。
でも志望校に合格したのは彼女だけだった。
僕は受験に失敗して
列車で1時間ほどの札幌の高校に通うようになり
彼女とはほぼそれっきりになってしまった。
僕たちは違う道を歩き出した。
40年後の弾き語りは胸が痛い。
涙で歌えなくなることばかりだ。
水分過多の水晶体が映し出すのは
決まって彼女だ。
あれっ!いつのまに?
会いに来てくれたんだ〜。
40年間随分探したんだよ。
久しぶり!元気かい?
僕あの時と比べたら
ギターの腕前も結構あがったでしょ〜♪
静かに微笑む彼女。
僕こんなに歳とっちゃったけど
君はあの時のまま変わらないんだね。
今は結婚もしてどこかで幸せに
暮らしているのかい?
いつのまにかちょっと陽が傾いたのか
部屋の中はオレンジ色に包まれている。
この静寂を壊すように飛び込んでくるのは
遠くでこだまする遊び疲れた小学生の笑い声。
居間の窓から見える夕日は
音楽室の景色と同じ
あの時のままだった。
サワサワサワ
開けっ放しの窓から
爽やかな風が吹き込んでくる。
風はレースのカーテンを揺らしてから
古い楽譜を1ページだけ開いてみせた。

昨日久しぶりに「風」っていう
フォークデュオの曲を弾き語りしました。
明日ご覧ください♪