小さな恋 第8回 | がらくた通り3丁目

がらくた通り3丁目

人にとってはまるで無価値。それも一個人の形成には不可欠。自我の源泉をたどる旅。おつきあい頂けたら幸いです。

花

穏やかな日差しが射しこむ玄関で
目に飛び込んできたその姿。

彼女は真っ白な
半袖のワンピースのドレスに
広いツバの大きな真っ白な帽子。
そしてその細くて小さな腕には
その腕からこぼれるほど
抱えきれないたくさんの
真っ白な花束。

強い日差しも相まって
彼女がとても眩しく見えました。

急いで来たのか
ちょっとだけ息が弾んでいる。

「pecobroちゃんお誕生日おめでとう」
そう言って花束を僕に差し出す。

一瞬回りの空気が止まったような静寂。

やがて空気が動き出し
祖父にはかなりひやかされました。

しかし彼女はいたって平然。

僕はこの時、僕と同じ年齢の彼女が
ひどく大人にみえました。

僕らはその後もずっと仲良し。
空箱がたくさん置かれた
2階の隅っことか押し入れの中とか
とにかく狭い場所でいつも寄り添ってました。

長くてきれいな彼女の髪が大好きだった僕。

見とれているのに気が付くと
ちょっとだけ自慢げに
そしてはにかみながら
彼女は1本髪の毛を抜いては
僕にくれたものでした。

そんな日常を繰り返しているうちに
とうとう僕らも3年生に進級するころ
彼女からあることを告白されます。

〈つづく〉