22歳ですと!

 

最初の手ほどきからお教えした、

小さく上品で可愛らしい男の子が。

 

4つの時に、つたない言葉で

一生懸命自分のことを話しながら、

モミジのような小さな手をいっぱいに開いて

新しい響きをつかむごとに目の奥に

どんどん光を宿していくような、

控えめで賢い坊ちゃんが。

 

今や、某CMソングも作曲するような

売れっ子となり、この春音大を卒業。

 

の、その前に、学内の卒試で選抜され

卒業演奏会が控えているとのことで、

随分と久しぶりにレッスンにやってきました。

 

これまでも、試験やコンクールの前には

必ず律義にやってきていたのですが、

ある時から、その幼い頃からの才能を発揮し、

アレンジャーや作曲家として活躍し始めた彼は

他のどの音大生よりも忙しそうで、

どの音大生よりも昼夜逆転生活で(笑)、

寝る間を惜しんで仕事に明け暮れていた様子。

 

卒業演奏会で、クラシック演奏は

ひとまず卒業です。

仕上げは、センセイにしていただきたく!

と、連絡を貰ったとき、嬉しいけれども、

「もう、いいのに、」という言葉が

口をついて出てしまいました。

 

それは、デジャヴのようで。

 

4半世紀前に、確かワタシも同じことを

一番の頼りにしていた師匠に、言われたこと、

その時の師匠が謙虚過ぎて小さく見えて、

でもひとたびレッスンをつけてもらうと、

圧巻のレッスンで。

 

そんなレッスンになったかどうかは

甚だ自信はないけれど、

すっかり大人になって、

まるでリスト本人のように

スリムで髪型までそっくりで、

どんなに今風のアレンジャーになったところで、

やっぱりクラシカルな基礎が

彼の根底を支えていることを確認し、

ワタシのところになんて、もう来なくったって

「いいのに」と、つい言いながらも、

感無量の夕方でした。

 

 

 

 

ベーゼンは連打しにくくてごめん。

 

ワタシの、小さかった可愛いお弟子さんだった若者、

今後もしなやかに、面白がって人生を送って欲しい。