今どき、ワインだって
コルクからスクリューの流れが生じているという中で、
ポメリーマスタードのこの頑なさよ。
4世紀近くものあいだ、
「いーやっ!封はロウしかあり得んっ。」とか、
代々のガンコ爺さんたちが首を振っているイメージが
ざらついた陶器に触れるたび、浮かぶのだけど、
隣の瀟洒な黒いお蓋の便利そうなソレを横目に、やっぱりこちらを。
真っ赤なロウをコツコツと破って蓋の中をそっと覗くと、
ワインセラーに潜ったような仄暗さが一瞬。
封をきられた粒マスタードの方こそ
目を覚ましたらソコは海を渡ったニッポンだったわけで。
それなりの秩序を抱きながら収められたと
いわんばかりの粒マスタードの佇まいに
ほんの一瞬パリが香る「開けた瞬間」のおたのしみ。
変わらない媚びない酸味
これで一体何瓶目だろうか。
イングリッシュマフィンに
マスタードたっぷりつけたチキンソテーを挟もうかな。
(こちらはちなみによそゆきプレゼント包装仕様。)