お正月を過ぎて、寒さが一段と厳しくなる2月から3月
のはじめにかけ、ひときわ輝く色がある。

それは「黄色」。
ほとんどの草木が葉を落とし、眠っているような
自然の中で、所々ぱっとと灯りがついたついたように
黄色の花が華やかに咲き誇っている。

ラッパ水仙、連翹、サンシュユ、福寿草、ミモザ。
気候条件の厳しい中、虫達の気を惹くために
子孫を残し、生き抜くためにこの時期に咲く花は
黄色が多いのだと聞いた事がある。

私のこれまでの旅もまた、黄色の花が思い出の中
に深く刻まれている事が多い。

高校生の春休みに訪れたイギリスのケンブリッジ大学
の寮の裏庭には、1本の大きな連翹の木の花が今を盛りと咲き乱れていた。
毎朝部屋の窓を開け、日本にも多く自生するこの木を眺めては
初めて一人で遠い異国に来た心細さを和らげる事ができた。

大学の卒業旅行で訪れた3月のイタリア。
私と友人はイタリアの華やかで、重厚な建物、文化に圧倒されそうになっていた。
ある日街角の花屋の店先で小さな黄色の花束を見かけた。
ミモザだった。
2、3本買って宿泊していたホテルの部屋に飾ると、負けまいと張っていた気が
ふっと緩み、落ち着いた。
数日後、ローマ郊外のアッピア街道を歩いていると、古い城壁の上に
ミモザの黄色の花がこぼれんばかり咲いていた。
私と友人は、その鮮やかな黄色の花からいつまでも目を離す事ができず
その場に立ち尽くしていた。


本日いけたお花 :連翹・薔薇(ピンク)・小菊(白)
かたち・うつわ : 傾ける形・丸水盤
出来      : 75点(まだまだ修行中)