ミナペルフォネン minaperhonen | サボリ通信

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大村幸太郎ブログ

近頃ブログが進んでいませんが、書きたいものは沢山あります。今年の釣りの事や取り組んでいるテキスタイルの事、着物の作品説明もまだだし、映画監督川島雄三のことも書きたい
それよりも仕事で依頼を受けている原稿をまず仕上げなければならない事、
書くべきものは実は沢山あります。そんな中なのに今回とりあげるものは上記にはないミナペルホネンのこと
皆川明氏が手がける服の事です。









先日兵庫県立美術館にて開催されていた−ミナペルホネン皆川明/つづく展−を鑑賞して、やはり、すごく、面白くて、可愛くて、感動的、だったので帰ってきて書きたくなりました。

僕とミナペルホネンとの出会いの話、今回の展覧会を断片的ですが膨大な数の服コレクションの中から写真付きで一部を抜粋したいと思います 興奮状態でまとまっていませんがリポートも兼ねて どうぞ




好きなブランドであれば最初に出会った時の衝撃ってのは明確に覚えているものだと思います。

しかし、実はミナペルホネンとの最初の出会いは覚えていなくて、
しいて覚えている事と言えば昔、京都河原町にも阪◯百貨店があってそこから100メートルほど下がったビルにミナペルホネン京都店がオープンした時の事だろうか、もちろんそれまでにもミナペルホネンは知っていたし、良いなと思う服でしたが本当の出会いは京都にやって来てからの事に思える
お店を訪れた時の印象はとてもお洒落なパン屋さんのようで、笑(というのも)入り口近くでは布地がロールのまま何点か置いてあってスタッフの方がお客さんに切り売りなどされていました。それがまるで焼きたてのパンが上がってきたように出来たてをそのまま購入し紙袋に入れて帰るように、服屋なんだけれどもどこか牧歌的な空気がそこにある不思議な店だった。


そのビルは古い銀行をテナントにしたもので実は僕はオープン前からちょいちょい訪れていました。
というのも上の階はギャラリーなっていて染織の作品やファイバーアートの展覧会があると大学の時の恩師S先生がDMなど添付してお知らせをくれるのだった。先生からの案内もあって訪れることが出来たビルだったけれど
当時からお洒落というよりはそれ飛びこえて、文化人的な方が往来していたように思えます。

著者によれば皆川さんも前々からそのビルをチェックしていてずっと空くのを気にしてらしたようです

そんなお洒落でもない僕が隅っこの方からチラチラ気になって気にして想い続けてやっと堂々と笑 展覧会という形で 作ってこられたものを見ることが出来ました。


とにかく数が多くて、でも1ブースずつ(7ブースくらいまであったと思う)しっかり繋がっていて最後までテーマにそって楽しめました。



のっけから今までの服を一部屋にしきつめ圧倒されますが、

年代別や新旧問わず、今まで手掛けた服を一緒くたに並べて古い新しい関係なく普遍的な服作りを心がけてきたミナペルホネンらしい見せ方でした

どれが最新でどれが初めかなんて分からないですよね
いつも色がいいなあと思っていましたがこうして並べた時の色数は本当に見事。渋い色なのに明るく見えたり、かわいいだけでなくて少しスモーキーな風合いがあったり、配色のセンスの良さはこうして多くの服を並べても違和感なくて全体を一つの作品として見せてくれます。








こちらの花の印影は染色のボカシのように見えて筆か刷毛で仕上げたように思えて







しかし近付いてみてみると刺繍でボカシを作っていた










↓こちらはたしか皆川さんではなくてスタッフの方が机の上で切って切って貼ってで作っていったものだったと思います









紙のコラージュと実物の色ほぼ同じやってんなあ、、感動しました。












このドットには向きがあって原画には矢印が供えられています。
水玉それぞれがそれぞれに意思を持っているように感じます。
刺繍で仕上げてあるのですが糸の向きがそれぞれ異なる仕上げになっています








そしてこのドットたちがセットアップのスーツになる。 これはもうかわいいより格好良いだと思う










紺のプレーンなワンピースに房のよう集まった白の刺繍−





強烈に格好良いですよね
この刺繍が上がって来た時皆川さんはもう服作りを終わってもいいとさえ思ったようです












こちらのスケッチは










建築物になる



ブースごとにテーマがあってでも全てのブースに繋がっている














最後のブースはユーザーさんが着用していたミナの服を思い出とともに展示されていて本当に泣けました


購入から2年〜、購入から7年〜、購入から12年〜、 購入から〜

と着用されてきたユーザーさんたちのミナの服はほつれながら、色あせながら、擦り切れながらも今も現役で変わらずその人に寄り添っていました。



病後に思い切りお洒落を楽しみたくて、−父とのお別れの場で来ていたワンピース、−氷の池にはまりずぶ濡れになったコート、などなど色褪せてもほつれてもずぶ濡れなっても着用されている服たちです。

不思議だったのが、というか僕がこの服を本当の意味で好きなのはこうして時が経った時にそこからがこの服の在り方のように感じるからなのかも。

ある方のコートは袖は擦り切れ、前身もサンドペーパーをかけたような風合いになっている。
しかし表面が削れそこから覗いていたのは黄色の素地。
それがすごく物語っていて、しかしその黄色が強烈にお洒落でした。 この状態がとても素晴らしく、欲しい。 皆川さんは擦れると黄色が見えてくるよと購入時も仰っていたようで本当にその通りになったと記してありました。

僕がミナを好きやなあ、と思うのはこういうグランジな部分もあると思う ある種パンクスだし、スモーキーな色というのも一筋縄で出さない色というか、似た匂いを感じます


お洒落をお洒落だけで終わらせたくないと言うか文化を、人が生み出す文化というものを服を通して伝えてくれている 感情を込める事で手にした方が感情をもらって、それをまた誰かにバトンする そうした循環がいいですよね って


もう少しやってみよう、あと少し頑張ってみよう。 そんな気持ちにさせてくれる服がミナペルホネンの在り方だ。そう思う

服は、文化はいいね 兵庫県立美術館残り2日ですがご都合よければ是非




ちなみに美術館安藤建築なのでそちらも楽しめると思います^_^