昔見た映画をもう一度見るシリーズ 映画-ノーカントリー- | サボリ通信

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大村幸太郎ブログ

すみません お久しぶりです。 1月も本日が27日。 あと一週間で二月、節分でございます。
年明けて挨拶も無く大変失礼を致しました、元旦から色々とありまして今更新年の挨拶も野暮ってもんで、ブログ進めていきますね

さて2020年最初は



昔見た映画をもう一度見るシリーズ、いきましょう!
このシリーズ第二回目にして早くも登場、、コーエン兄弟です。






ノーカントリー 2007/アメリカ映画

監督 イーサンコーエン・ジョエルコーエン


ストーリー
1980年代のテキサスを舞台に、麻薬密売の大金を手にした男が非情な殺し屋シガーに追われ続けるおっそろしいサスペンス。保安官ベルは2人の行方を追いながら、退職をひかえた自身とも葛藤してゆく−







ノーカントリー、以前見た時の感想は、、全体的にものすごく暗い雰囲気と改造ガスガンで殺戮を繰り返すアントン・シガーの残虐さ 終始ジメっとした印象だけが残った感じでした。

というか、、 アントンシガー役のハビエル・バルデムのキャラクターが強烈で全てそこに持っていかれてしまったという、、








,この方に追われるわけですよ、、








というわけでもう一度しっかり見てみると、なんていうかザ・アメリカ。

劇中では1970〜80年くらいの当時のアメリカンカルチャーが随所表現されていて、いわゆるダイナーの朝食や荒野のガソリンスタンド、モーテル、アメ車に田舎のカウボーイスタイル、ピックアップトラックなどなど ロケーションや道具、小物の使い方が良いです(個人的にこの頃のアメリカ文化好きで、、)



















































映像が埃っぽいというかフィルターがかっているような−古さ−を感じる画面で色彩も年代に合わせているように感じます。
ストーリーや面白さも大事ですが、まずこうした見せたい舞台やカラー設定がしっかりセットされていて、さらにそれをちゃんと実現している、ただ見ているだけでは気づきにくい事ですがウラでしっかりこの舞台を作ってくれているから登場人物たちのキャラクターも一層際立ってきます。


























80年といえばベトナム戦争後まもないアメリカ。
75年大敗後アメリカは一気に意気消沈しインフレ、失業、また経済だけではなく人の精神もあの頃から変わったようなそんな風にも思えます。

殺人鬼はひたすらに金と仕事、そして目的遂行のため殺人を繰り返します。 それは足元に転がる小石が邪魔だからと、ただ払いのけるように殺してゆく 心を持たないまるで機械のように殺人を遂行していきます。

一つ興味深いシーンに殺人鬼は相手の命をコインの裏表に賭けたりします。 それが運命だからと−
しかしそれは裏返せば自分の意思で決められない、自分でない−誰か−に運命を任せている事になります。 つまりその殺人鬼には殺す理由は特にないのです 意味もなく理由も無く殺人鬼自身も何故殺しを続けるのか判らない
意思を放棄してしまったかのように−何者か−に責任を預け、暗黒の時代に流され殺戮を繰り返します



トミーリージョーンズ扮する定年間近な保安官は言います、「殺人鬼や犯人なんてのは亡霊みたいなもんだよ、そこには居ないんだ」 何を捕まえれば良いのか、この国の何を正そうとしているのか、もう私には手に負えない 老いた保安官はそんな風に去ってゆく

ラストシーンは保安官が昨夜見た夢の話を妻に告白するシーンでシメになります。

−子供のころ私は馬に乗り、暗闇の中を父の後を追っていた、私が進めたのは先で父が火を灯して待っていてくれると信じていたから− 信じていたからだったんだ、、
この詩のような台詞のあと余韻も無くフェードも無く画面はスパっと切れてエンドクレジットへ−
、、渋い。

希望なく、それでも信じていた光さえ遮られたようなそんな印象とジメジメしたものを残して映画は終わります。 アメリカが退廃してゆくそんな一つの時代を見たような痛烈な印象を受けました。
詩でもって終わらせる。ビートニクな雰囲気を漂わせやはり随所にアメリカンカルチャー的なものをいれてきます

マトモな感想にはならないのですが、つまり この映画、カッコ良いのです。
きめ細やかにとてもブラックに 笑い済ますしかないように もの凄く皮肉にこの国を表しているように感じます



僕は日本人ですがこの映画を本場アメリカ人が観た時何を思うのか、、それがもの凄く興味深いです  










というわけで訳わからない事しゃべりまくる当方のブログ、、暇で暇でしょうがない時など、今年も ホントよろしければ どうぞまたお付き合いください^ ^