私の場合は仕事上接待をするということはまずない。

だが先輩やお世話になった人を接待しなければならないことはたまにある。

土曜日はそんな日だった。


目上の人とキャバクラに行くというのは大変疲れるし出来れば避けたいものであるが、

なんとなく流れでキャバクラへなだれ込むことになってしまった。

大人数なら二人きり、しかもこの日接待したI氏はまだ30代の若さだがかなり酒癖が悪く、虚栄心が強いタイプだ。

この日も泥酔していて、隣についたキャストをけちょんけちょんに貶していた

「ねえ、君、太ってるねえ。なんで太ってるの?」

「えーひどーい。お客さんひどすぎる・・・」

「いや痩せたらかわいいのにと言ってるんだよ。ねえ、Kさん(私の名前)」

「いえ、私には太って見えませんが・・・」

「あら、お兄さん超優しい!私こっちにつきたい」

なんてことをキャストが言い出したので慌ててフォロー

「いやIさんは気に入った子をちょっといじめる癖があるんですよね。だから気に入られてるんだよ」

ところがこのキャスト、空気が読めてないのかよっぽどIさんが嫌いなのか

「えーでも私は優しい言葉をかけてくれる人の方がいい。お兄さん指名して!」

とIさんをほったらかして甘えだした。

慌てて

「そうだIさん、カラオケ入れましょう。またサザンの曲聞かせてください。めちゃくちゃうまいんだよこの方わ!」

それでようやくキャスト達も「聞きたいききたーい」となって空気が変わった


Iさんは実際プロ級に歌が上手い。

キャバクラでは歌が上手い客はモテる。

歌が歌えない私はうらやましく思いながらもなんとか流れが変わったことにほっとする


ところがほっとしたのもつかの間、歌が終わるとIさんがキャストにエッチトークをしはじめた

「ねえ、このあと俺とエッチしてみない?むちゃくちゃそそるんだよなあ君さあ」

I氏は普段からこんなキャラではないのだが酔うと心の声がそのまま出てしまう素直な人なのだ。

「やめてください、ボーイさん呼びますよ」

胸に手を入れようとするIさんにキャストが必死で抵抗する

以前これを止めて胸倉をつかまれた後輩がいると聞いた・・・

私はさりげなくボーイの所に行き「チェックで」と


Iさんを外に連れ出し感謝の言葉を述べ

「つまんねー世の中だよなあマッタク」と酔っ払うI氏をタクシーに乗せる

「あ、ちょっと待って」とI氏

手を伸ばして握手を求めてきた。

こういうところが憎めない。実際I氏は結構われわれの中で人気がある


だが疲れた。ドッと疲れが出た。

もうキャバクラ接待なんて二度とするもんじゃないなと思ってタクシーを捕まえ、家に向かう

家に帰り冷蔵庫をあけ、水を飲んだところでふと気づいた

ほとんど酒を飲んでいなかった。

Iさんへの気遣いで酒を飲むどころではなかった。


たまに接待を受けることがあるけど、相手はこういう気疲れをしてることもあるんだろうな

なるべく接待で「じゃあキャバクラへ!」なんてことは辞めておこうと心に誓った


やはりキャバクラは気の知れた仲間か一人でいくのが一番だ