私がパニック発作を起こして、初めて病院に行ったのは、大学生の時でした。あれからもう8年が経ちます。薬物療法がなかなか効かず、カウンセリングでは思考が堂々巡りでこれまた効かず、結局は時間の経過とともに、自然と軽快に向かいました。(※治った訳ではありません)

 

私はとにかく「妊娠出産を経験したい」という堅い意志があり、症状もそれほど出ていなかったため、医師の許可のもと妊娠を計画しました。まさか体外受精まで必要になるとは思っていませんでしたが、1年の不妊治療の後、妊娠しました。

 

ツワリが酷かったため、妊娠初期は全く余裕がなく、ツワリが落ち着いた妊娠6カ月後半になってようやく、赤ちゃんのことを考えられるようになりました。たまに「ちゃんと産めるんだろうか、育てられるんだろうか」という不安が頭をかすめました。でも、それは、パニック障害を抱えていることとは関係なくて、どの妊婦さんも一様に体験することだったのではないかと思います。

 

パニック障害を抱える人は、そうでない人と比べて、「不安感」に対して敏感です。パニック発作時の不安感は凄まじいものですが、それを何とかやり過ごす一方で、些細な不安や心配事にも過剰に怯えてしまう気がします。そのため、妊娠中より産後の方がしんどい場面は多いでしょう。娘は、想像していたより大きくて、抱っこした感じもしっかりして産まれてきてくれました。とはいっても、か弱い命。泣き続けて甲高い声で「ひぇーひぇー」と言い出した時にはこのまま息ができなくなるんじゃないか?と不安になったり。私がちょっとトイレに行っている隙にお布団から転げ落ちていて、こちらの息が止まりそうになったり。娘を死なせないようにするのがやっとで、心が擦り減っていく感じは否めません。

 

でも、娘を見ていて思うのです。

すやすや眠っていても、ギャンギャン泣きわめいていても、ボーっと宙を眺めていても、どんな瞬間も、娘が生きていることを実感できます。四六時中、全力で生きている感じに圧倒されます。何をしていても、余計なことは一切なさそう、とでも言いましょうか…。

娘は娘なりに、親の目には見えない部分も含めて、どんどん育っていくことでしょう。私の場合、パニック発作の最中はもう不安感に支配されて、世界中(というか頭の中)が不安でいっぱいになるわけです。一方で、娘の世界は刺激に溢れていて、実は不安も感じているかもしれませんが、これまた全力で跳ね返しているんじゃなかろうか、と思います。娘を見ていると、何だか少し元気が出ます。

 

妊娠期間には最長10カ月と言う区切りがありますが、産後は「ずっと産後」なので、産後のメンタルへの心配はそれなりにありましたし、今もあります。子育てから出てくる不安感が積み重なって、パニック発作が起きやすくなったらどうしよう、という心配もあります。でも、その不安感を打ち消してくれるのも子どもなのです。だから、きっと大丈夫。新生児を無事卒業した娘と、この先も頑張っていこうと思います。