あなたの声を聞かせてよ | やれたもんだからやってみた

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やれてませんけど…(汗)

前話「20世紀の終わりに」の最後に出てきたコイツ


ナショナル(松下電器、現パナソニック)のテープレコーダー RQ-502 、昭和33年発売です。

昭和33年(1958年)って…

アメリカでマーキュリー計画が始まってNASAができた(NACAから名称変更した)年だぞ?

分かりにくいか…(笑)

日本では、東京タワーができた年です。

昭和ど真ん中、「20世紀の終わり」どころではありません!(笑)


その発売年に買ったのかどうかはわかりませんが、新し物好きだった父のことを考えれば、それほど違ってはいないでしょう。

私が物心ついた頃には既にあったので、1960年代のいつかなのでしょう。

アポロ11号の打ち上げ中継をこれで録音したものを後で何度も聞かされたので、遅くとも1969年には既に我が家にあったことになります。

少なくとも半世紀以上も前の物…ってことになります。


現在の録音機器って言ったら、例えばICレコーダー


こんなにコンパクトですが、操作のこと考えなければ、もっと小さく作れるでしょう。


でもこれは…


でかい!


何しろ、オープンリールですから!

まあ、今の若い人は、カセットテープすら知らないかもしれませんが…

この円盤に長い磁気テープが巻かれていて、それをもう一つの円盤に巻き取りながら、録音や再生をする仕組みです。

長時間録音するためには長いテープが必要で、長いテープは巻いても大きくなるので、こんな大きさになるのです。

でも、オープンリールのテープレコーダーとしては、画期的にコンパクトだったと思いますよ、コレは。


さて、このデカイ録音機器…


実は、持ち運び可能なポータブルタイプ。


電源コード仕舞って電池入れれば、電源のない屋外でだって使えるのです。

(我が家のは紛失してますが)マイクも付属していて、いつでもどこでも生録可能。

父が録音した野鳥の声を聞かされたのを、覚えています。


また、これには、テープの回転速度が変えられるっていう、カセットテープレコーダーではあまり見なかった機能がありました。


基本スピードの切り替えと


それに対する微調整。

あれ?逆転再生なんかもできたかな?これは、定かではありません。


カセットテープ全盛の頃も、この機能使って、曲のテンポを変えて運動会のBGMとか作ってました、私。


懐かしいです。


では、ちょうどテープもセットされているので、早速動かしてみましょう。


カチッ!

シーン…



レバーと連動した機械的な部分は動きますが、電気的な部分は、うんともすんとも動きません。



まあ、古いから仕方ない。

諦めましょう。





いや

待てよ…




父が他界する少し前、ブルーインパルスのショーをこれで生録していて、そのうちの1機が墜落!

そのとき、普段無口な父が、たった一言「落ちた…」。

それがテープに録音されていて、父の死後時々母がそれを再生していたのを思い出しました。

このテープがそれかどうかは、わかりません。

でも、母がずっと「これだけは!」と、処分を拒み続けていました。

もしかしたら…?


うちの子どもたちは、私の父(おじいちゃん)に会ったことがありません。

当たり前です。妻と私が出会うよりずっと前に他界しているのですから。

もうすぐ父の命日です。


聞かせてやりたいな…




古い家電品を直すという店があったのを思い出し、このテープレコーダーを持って行ってみました。

呼び鈴鳴らして出てきた高齢の女性に尋ねると、もうかなり前に廃業しているとの話。

おそらく、この女性のご主人がやっていて…




今では、こういうものを直してくれるところが、ほとんどありません。

「今では」どころか、父の生前も既にそうで、父はその修理を請け負うことで小遣い稼ぎをしていました。

私も、それによくついていったものです。




仕方ないな…




それじゃ…




自分で直すか…!