15歳まで、絶対に人に言えない秘密を抱えていた。
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小学6年生の頃、
その当時好きだった男の子とディズニーランドに行った。
中学2年生の頃、初めての彼氏ができた。
中学3年生の頃、少し悪い男の子と付き合った。深夜家を抜け出したりしていた。
周りからは、人なみに思春期を過ごしているように見えたはずだ。
ただ、その裏で、
ずっと、誰にも言えない秘密を抱えていた。
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小さい頃からあるものが好きだった。
好きで好きで仕方なかった。
でも、なんとなく、これを人に言ってはいけない、ということはわかっていた。
私が好きだったもの、
それは、
おたまじゃくしである。
(※以下、お食事中の方は読むのをおやめください)
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小学生の頃、
その時期が来ると、私は1人でおたまじゃくしを探しに行っていた。
本当は捕まえたかったけれど、人間がそばで動くと、やつらは逃げ、
手が届く範囲にはいなくなるので
じっと田んぼのそばでしゃがみ込んで見ていた。
小学生の頃は、見ているだけで満足だった。
あの完璧なフォルム、
飽きさせない動き、
愛くるしい表情、
私のものになることはなかったけれど、
大好きで仕方なかった。
(※おたまじゃくしの話です)
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中学生になった私は、少し知恵をつけた。
小学生までは手で捕まえることしか思いつかなかったが、
中学生になり、義務教育を経ることで、
ひしゃくを使って捕まえる方法を思いついたのだ。
>なにぶん頭が悪かった
私は、夜中に家を抜け出して、タバコを吸う茶髪の彼氏とこっそり会う、
その裏で、
おたまじゃくしを楽しんでいた。
>完全に違法薬物
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そうして、1年に数カ月だけしか会えない彼ら(=おたまじゃくし)と楽しむうち、
ある欲求を抑えられなくなった。
どうしてもおたまじゃくしを、100匹捕まえたい。
完全にどうかしているとしか思えない。
この狂気じみた欲求を、人には隠していた。
もちろんおたまじゃくしを捕まえていることも隠していた。
人に知られてはいけないとわかっていた。
これが、小学生ならまだわかる。
しかし、この時、15歳であった。
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私は、おたまじゃくし100匹捕まえるプロジェクトを掲げ、
ひしゃくと、バケツを持って、田んぼに通った。
100匹に到達しなければ、きちんと逃して帰った。
>キャッチアンドリリース
そうしてある日、ついに、
100匹のおたまじゃくしを捕まえることに成功した。
この時ほどの満足感を、今日まで味わっていない。
念願の100匹おたまじゃくし達成である。
>聞いたことない達成
ただ、100匹捕まえる、ということだけを目標に掲げており、
その後、どうするかを全く考えていなかったのだ。
迷った私は、
なんと、
100匹のおたまじゃくしが入ったバケツを、
自宅に持ち帰ったのである。
もう完全に頭がおかしい。
自分の過去のことながらどうかしているとしか思えない。
100匹捕まえようと思ったことも怖いし、
実際に達成したことも怖いし、
何よりも自宅に持ち帰ったことが1番怖い。
15歳の私は、
ものすごい充実感に包まれながら、
重くなったバケツを持ち帰った。
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しかし、帰宅してすぐに母親にバレた。
それはもう、驚くほどすぐにバレた。
そして当たり前のことを言われた。
「逃してきなさい!!」
普通、犬や猫を拾った時に言われるだろう。
私は、違う。
おたまじゃくし100匹である。
>得意げに言うな
母親は続けた。
「カエルになるのよ!」
ここでようやく気づいた。
信じられないことに、
私は、おたまじゃくしがカエルになることを想定していなかったのだ。
頭が悪かった。
知識として、おたまじゃくしがカエルになることを知っていたが、
どこか他人事であった。
>自分事もおかしい
あんなにも苦労して捕まえた100匹のおたまじゃくしを、
すぐに逃しに行った。
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そこから、私は、完全におたまじゃくしをやめた。
>おたまじゃくしをやめるとは
その日から本当に1匹も捕まえていない。
何を調べてもらっても構わない。
本当にやめている。
私の○○歳になってやめたこと、
それは、15歳になってやめたおたまじゃくしである。
>15歳までおたまじゃくし捕まえている女子もなかなか