最近、小説を読み始めても自分の中で馴染めず、その世界観に入ることができないまま脱落、全くと言っていいほど最後まで読めなくなってしまい、もう小説はだめなのかなぁと、あきらめかけていた時、この本に出会いました。

そうでした、やっぱり、こういう時こそ、今まで何度も、小説っていいなとしみじみ思わせてくれた歴史小説を読むべきだったと、今さらながらに思いました。

さて、私の読書スランプから救ってくれた本作は、侯爵である夫の鍋島直大とともに、不平等条約改正のために、鹿鳴館外交で、鹿鳴館の花、と讃えられた鍋島榮子の物語です。

ても、タイトルから想像した当初の予想とは違い、読み進めると、華やかなりし鹿鳴館の花、の鍋島榮子の話ではなく、日本赤十字創設期に尽力した日本のナイチンゲールの物語なのでした。

彼女の行動力、そして、まさにノブレスオブリージュを夫婦で全うした生涯、さらにはかつて朝敵として攻めざるをえなかった会津への想いと成し遂げた悲願。

最後まで話すところなく 堪能することができました。久しぶりに日本人としての誇り、人間として、こうありたい 近づきたいと実感した素晴らしい歴史小説でした。

やはり これからも歴史小説を始め、人を知るため 世界を知るため自分の心を知るため、小説を読み続けていきたいと思います。

このような気持ちにさせてくれた本作に感謝音譜


記録のため いかに楽天 さんの内容紹介を転載させていただきます。


内容紹介(「BOOK」データベースより)

明治初期、近代国家としてスタートしたばかりで、東洋の小国に過ぎなかった日本にとって、国際的地位の向上は急務だった。公家の娘として生まれた榮子は、岩倉具視の長男に嫁ぐものの、若くして死別。最後の佐賀藩主で侯爵、外交官だった鍋島直大と再婚し、「鹿鳴館の花」と讃えられるほど、外交面で活躍する。しかし、鹿鳴館外交は条約改正に至らず、榮子は自分の役目を模索しはじめー。“日本のナイチンゲール”と呼ばれ、赤十字活動を支えた侯爵夫人、鍋島榮子。その気高く、美しき生涯ー。鹿鳴館の花と讃えられながらも、幾多の困難を乗り越え、看護の現場に参加し、ノブレス・オブリージュを全うした貴婦人を描く傑作歴史小説。

著者情報(「BOOK」データベースより)

植松三十里(ウエマツミドリ)
静岡市出身。東京女子大学史学科卒業。出版社勤務、7年間の在米生活、建築都市デザイン事務所勤務などを経て、作家に。2003年に『桑港にて』で歴史文学賞、09年に『群青 日本海軍の礎を築いた男』で新田次郎文学賞、『彫残二人』(文庫化時に『命の版木』と改題)で中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)