まずは、「春に翔ぶ」で、北原先生の半生、そして現在の思いもよらない行動にひどく心をゆさぶられました。

このまま、それから、に続くのかなと思いきや、

北原先生と曉海の間の、絶対的な存在、櫂にまつわる現在の動き、というワンクッションが置かれたことは、少し以外でしたが、

櫂という存在の大きさを思い出す上では重要な章だったと思います。

そして、いよいよ、2人の、そして彼らを取り巻く家族たちの人生が、ラストまで余す所なく大きく展開されていく終章、「波を渡る」 。

彼らの人生は駆け足で進んでいきますが、その時々の彼らの選択に、時には驚かされ、 時には共感し、たくさんの作者が紡いだ言葉に心を打たれました。

久々に、このような余韻のある、心を揺さぶられる、そして自分の日々の生活や生き方まで、かえり見ようとさせられる作品に出会えた気がします。

感謝音譜


記録として以下に Amazon さん の内容紹介を転載させていただきます。


その愛は、あまりにも切ない。


正しさに縛られ、愛に呪われ、それでもわたしたちは生きていく。

本屋大賞受賞作『流浪の月』著者の、心の奥深くに響く最高傑作。


ーーわたしは愛する男のために人生を誤りたい。


風光明媚な瀬戸内の島に育った高校生の暁海(あきみ)と、自由奔放な母の恋愛に振り回され島に転校してきた櫂(かい)。

ともに心に孤独と欠落を抱えた二人は、惹かれ合い、すれ違い、そして成長していく。

生きることの自由さと不自由さを描き続けてきた著者が紡ぐ、ひとつではない愛の物語。


ーーまともな人間なんてものは幻想だ。俺たちは自らを生きるしかない。