
ぼくが伊賀の忍者屋敷に向かったのは
息子にその「からくり」を体験させてあげたかったからだ
激動の戦国時代を
鍛えあげた自らの心身でクールに生き抜いた
彼らの 命がけの知恵の結晶 忍者屋敷
そんな現代に残る息吹を感じながら
人が“暮らす”ということの定義を再確認するためだったが
想像以上の人だかりに
あらためて世界的な忍者ブームを目撃することができた

謎めいた我が家系の
反骨とD.I.Y精神に彩られた歴史にふれるたびに
ぼくのご先祖さまは 忍者だったのではないだろうか?
との思いがよぎる時がある
忍者といえば 三重県伊賀市(旧上野市)の伊賀流忍者
有名な伊賀忍者「百地丹波」はぼくと同じ名張市出身だから
あながち妄想とは言い切れないかも知れない
そんなルーツを訪ねる旅でもあったんだ



家というと 今では仕事や学校を終えて帰る場所
いろんなしがらみや喧騒を離れ ホッと一息つける聖域でもある
そんな特別な場所さえ 生まれる時代が違えば
絶対的な城ではなく
命を守ってくれる保障さえない
そんな絶望的なギリギリの緊張感をはらみつつ
なお からくりに明日への希望を託しながら
穏やかに 簡素に 美しく生きていこうとする
人間の底力に ぼくは打たれるんだ

ぼく自身は特定の信仰・宗教を持たないんやけど
いつ死ぬかわからない 極限の状況をタフに生きた
彼ら忍者の 心のありよう
また そのよりどころには深い興味がある
生き方としての忍者の研究は
とかく絶望しがちなこの島国に
新たな光を届けてくれるような気がしてならない
しかし なんという素敵な職業なんだろう 「くノ一」
いうまでもなく「女」という字を分解した
女忍者の意味なんやけど
当時の忍者社会におけるジェンダーという
興味深いテーマさえ残してくれている
ぼくの奥さんは銀行窓口で働いてて
職業欄に 迷いながら「詩人」と書いた男性を見たことがあるという
究極のご当地ガール
現代の伊賀に生き続ける 可憐な くノ一
彼女は職業欄に何と書くのだろうか?
それを聞くための旅もあっていい
