最近お会いした高級腕時計を30以上所持しているという70代の紳士は、其の日はパティック・フィリップのノーチラスを身に着けていらっしゃいました。
パティックといえば1839年創業、スイスの高級時計メーカーで、ヴァシュロン・コンスタンタン、オーデマ・ピゲとともに世界三大高級時計メーカーとして数えられることが多く、その中でも頭ひとつ抜け出た存在であり、世界一の時計ブランドとされています。
彼のパティックは想定するに1千万円以上。高級車と同じくらいのお値段の時計を何気に身に着ける彼は年齢のせいか、そのいでたちのなせる業か、まったく嫌味を感じることはありません。
最近流行っているサブスク(※)でレンタルに出してはどうかと冗談交じりにお話しすると、大好きなコレクションを人に貸すなんてとんでもない。自動車にも趣味がないし、時計は自分の楽しみで集めているだけなんだよ。とさらりと答えていらっしゃいました。
さて、バブル経済の頃は高額ブランド品が飛ぶように売れていましたが、崩壊後は一気にファストファッションに走る若者が増え、高額品が売れなくなりました。
ところが、デフレスパイルとも言える昨今、高額ブランド品の売り上げが伸びているようです。その伸びの要因を学者たちが研究調査している結果が興味深いのです。
それはバブル期にあったような顕示的価値欲求ではなく、非顕示的価値欲求だというのです。わかりやすく言うと、これ見よがしに他人に見せびらかしたり、名声というような意味合いではなく、持っていて自分が嬉しい、満たされるという情趣的欲求というのです。
見せびらかすというような妬みにつながるようなことは逆に避ける傾向にあり、密かに楽しむ! というのです。
これって江戸時代、着物の裏地に施した派手な柄をひそかに楽しんだという江戸っ子と同じ?
ともかく、贅沢をしないというZ世代の若者が高級ブランドを買う意味は貯金することと同じようです。
マーケティング調査を行うと、将来お金に換えられるという価値観で高級ブランド品を購入するということです。なるほど、賢い!
オールユニクロを身にまとってきた若者が高級品を手にする=メルカリなり質屋で他者が引き取ってくれる可能性を手にする。
さらに面白いことにメルカリでもっとも売れる衣類ブランドはユニクロのようです。だから、ユニクロを買う?
高級時計の場合、メルカリではロレックスがもっとも売れる。だから、Z世代の買う高級時計はロレックス。
70代の男性がしていたパティックではないのです。誰もが知っているロレックスであり、ユニクロ!
そう考えると、Z世代こそ、SDGsを地でいく、未来に必要な人材なのかもしれませんよね。日本の未来も明るいかもしれないと思える、昨今のラグジュアリー・ブランドの購買動機でございます。笑