2年前でしょうか、銀座ロータリークラブの卓話で、100歳になられる直前の聖路加病院の日野原さんが聴講くださいました。メモをとってくださっていたそのお姿をみて、いつまでも若々しくいられる方は何事にも前向きと感心いたしました。



 さて、私がイメージコンサルテンィングの仕事をすることになったきっかけは前職にあります。32歳でノエビアの取締役に就任した私は広告塔の役割で、社長代理で経団連や経済同友会の例会によく出席いたしました。立派な企業の社長様ばかり。中身は立派な方々ですが、見た目がぱっとしない現実に驚きました。当時、バブル崩壊後の日本経済は下降の一途。これからの企業トップは見た目も重要と感じ、一念発起して会社を興しました。



 とはいえ、まだまだ「人は見た目より中身」の時代。事業はすぐに軌道にのりませんでしたが、2005年の小泉首相誕生の頃から世の中が少し変化してきました。クールビズが始まり、スーツではない、スマートカジュアルの着こなしが求められるようになりました。


 選挙演説のときの政治家や、記者会見のときの企業トップ、社員への社長訓話など、話し手が遠い存在であればあるほど、聞いているほうは話し手の中身の良さを知る由もありません。話す内容も重要ですが、誰もが意識的に美辞麗句を並べるスピーチにおいて、最後に感銘を受け、印象に残るには第一印象である見た目の影響が大きいことは、メラビアンの法則(南カリフォリニア大学教授による報告)で証明されています。謝罪会見で必死で誤ったとしても、高価な時計を身につけていたためにメディアで批判されてしまうこともあります。第一印象は、ほんの7秒で決まるもの。私たち人間の情報集約部位として重要な顔をはじめ、髪型、服装などが相手に与える情報量は非常に多いのです。



 たとえば、目の位置が低い童顔傾向の人は、親しみやすい印象です。逆に目の位置が高い大人顔の人は、頼りがいがあるように見えます。初対面の場合、見た目から抱く印象から、同様の性格を期待する傾向にあります。期待通りの性格でないことにがっかりすることもあるでしょう。一方、行動力があるにもかかわらず、見た目からそうは見えないため、せっかくの機会を逃すこともあるかもしれません。



 顔には表れていない中身を補ってくれるツールが、髪型や服装です。ところが、童顔の男性が貫禄をだすため、ダブルのスーツやオールバックの髪型では、顔のデザインと髪型・服装のデザインがちぐはぐになってしまうことで、逆にこっけいに見えてしまいます。人も、ロゴマークも、街並みも、すべてトータルデザインが重要です。トータルでその人の個性を表し、オーラのある存在感をだすことこそ、ひとりひとりの印象マネジメントをアドバイスする私たちプロの技なのです。



 これまで多くのパーソナルデザインをしてきた経験の中でお伝えしたいことは、欠点を隠そうとしないことです。欠点こそ個性であり、魅力です。頭が薄くなってきても、白髪が目立ってきても、お腹がでていたとしても、隠そうとすると却って目立つ。それを魅力として、堂々と、それに合ったデザインを施すことで、実はその年齢だからこそ、その人だからこそのオーラにつながるのです。詳細は、私の著書をお読みいただければ幸いです。


※2014年12月9日大垣西ロータリクラブにおける卓話要約