多くの職場を悩ませているパワーハラスメントは、悪意あるいじめ・嫌がらせだけでなく、
指導の行き過ぎという、加害者にはまったくハラスメントという意識がないものも多い。
そんなことを酒を飲みながら話していたところ、
職場に潜む、恐ろしい新型ハラスメントの実態が浮き彫りになってきた!
それは、上司が放つ口臭や体臭という悪臭ハラスメントである!
そういえば、かつて若いころ、直属の上司が放つ歯槽膿漏の臭いは半端ではなかった。
叱責・注意は有り難く受け止めたい気持ちはあったものの、
あの臭いだけは避けたいという気持ちが強く、
呼ばれたやいなや、口呼吸することに全精力を傾け、ほとんど叱責を聞いていなかった。
そして、その飲み会において、それぞれの会社の実態を報告することになった。
ある会社の例がすさまじいものであるため、ここで情報を共有しておきたい。
S氏は、某企業の人事を担当する中堅管理職である。
ある日、別部署に転勤を命じられた。
そのとき目にしたものは、デスクの間に陳列された数本の「消臭力」であった。
さぞかし清潔好きな社員が多い職場なのだと感心した。
しかも、数週間に一度取り換えられる消臭力の中身。
あまりのマメさ加減にやり過ぎ感も感じたようだ。
ところが、数カ月したときに何か異様なにおいが漂う瞬間があることに気付いたS氏であった。
新しい部署にも慣れてきたある日、
ひとりの女性社員に語りかけた。
「この部署はきれい好きな人が多いんだね。」
「・・・・・・・」
彼女はしばらく沈黙したのち、
「Sさんは、まだ臭いに気付きませんか?」
と返してきた。
そこで、初めてS氏は気づく。
ときおり漂うあの臭いを消すための消臭力の陳列であった。
それは、その部署の課長が放つ体臭を消すためのものだったのである。
たまたま、S氏は排気口の下にデスクがあったため、強烈なにおいからは逃れていたのである。
結局、人事部出身であったS氏は、それを放置することは双方に残酷であると判断し、
その課長の管理者である、部長に密かに伝え、
人事面談の際に、悪臭を放っていた課長に対して部長が指摘したとのこと。
一体どのような指摘がされたかは、今後の悪臭ハラスメント防止のために公表しておきたい。
重要な人事面談の最後に、部長が告げた言葉。
「毎日、風呂に入るように!」
であった。
実は、部長はその課長が風呂が苦手であることを知っていたのである。
とくに、冬場になると汗もかかないと高をくくり、数日に一度しか風呂に入っていなかったようである。
いやはや、
S氏のおかげで、この職場の消臭力の本数は減ったようだが、
まだまだ多くの企業にこのようなハラスメントが存在していることを思えば、
非言語領域を扱う私の責務も大きいと感じるのでございます~