出身地、大垣に帰省するときはいろいろな方とお会いします。
大垣って面白いところで、とっても寂れた感じの静かな街ですが、
飲み屋街のお店に一歩足を踏み入れると、
日本経済を動かしているような上場企業の社長さんたちが気楽な気分で飲んでらっしゃる。
しかも、街からは考えられないほど、お店は混み合っている。
ほんと不思議な街なのですが、
大垣の三輪酒造の三輪社長を通じて、
よくお酒をご一緒させていただく東大名誉教授でIAMASの総学長の横山正先生が
現代語版に翻訳された『亦奇録』(えききろく)を送って下さいました。
最初はその本の意味がよくわからなかった私ですが、
今回の帰省で、大垣にある「奥の細道、むすびの地記念館」を尋ねてみて、
小原鉄心という幕末の大垣藩家老の武勇伝の奇録であることを知ったというわけです。
1817年11月3日生まれの小原鉄心は、代代大垣藩主戸田家につかえました。
幕末の世で、新政府軍につくことになった大垣藩を、その政治的手腕で守ろうと奔走した人です。
1872年に56歳で肝硬変を患い、この世を去るわけですが、
その短い人生におけ社会的功績と、文化を愛した側面、と同時に大酒飲みであったことなど、
浮き彫りにしていくと大変興味深い人物なのです。
中でも私の興味をそそることふたつ。
ひとつは母の故郷、長野県松代の名士、佐久間象山と親交が深かったこと。
素行の派手な佐久間象山に、
「おまえはそんなことばかりしているといつか殺されるぞ!」
と友人としてアドバイスしたすぐ後に、京都で派手に遊んでいた佐久間象山は暗殺されています。
私の母がこうして松代から大垣に嫁に来たのも何か関係があるような気がしてなりません。
そして、もうひとつ。
彼が愛した文化と遊びの世界を全うした別荘「無何有荘 」の存在です。
荘氏の言葉「無にしてなんぞ有らん」、無為・無作為で超然とした自然である境地を意味します。
私の座右の銘である「無為自然」も老荘思想から得た言葉であり、
そういった心の境地を愛する私にとって、
私がここ大垣で生まれた意味を確認させていただくよい機会でございました~♪
そして、私が酒を愛する意味も・・・・・ね~