癌と父、それを見守る家族

癌と父、それを見守る家族

2005年8月、父が脳腫瘍で倒れました。

それに関する自分の気持ちとかを整理する為に書こうと思います。

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父の生徒だった薬剤師の先生が帰国したというので父の近況を伝えるべく電話した。


やはり医者という立場からなのだろうか、普通の人とはまったくリアクションが違う。


「良くなると良いですね」とか「お大事に」的な台詞は一切言わない。


良くなるわけはないのを充分に知ってるから言えないんだろう。


そういう台詞が聞きたいわけじゃないし。


近く大阪にいらしゃるそうだが、


「(大阪戻ったら)お父さんの具合が良ければお見舞い伺います」との事。


「大阪戻ったらお見舞い伺います」ではなく。


ここも普通の人のリアクションとは違うな、と感じた。


医者だけに状態が良くない父と会うのはなおさら辛いんだろうと思う。



彼からこんな話を聞いた。


@@@


本人が苦しんでるなら尊厳死という選択もあります。


アメリカでは認められてる州も結構あるし、


日本も暗黙の了解で当たり前のように全国でやっています。


医者の隠語で『フルコース』という言葉があります。


これは徹底的に心臓が止まるまで脳が死のうが何が起ころうが生かしつづける方法で


フルコースを希望する家族もいれば、


「この辺りまででこれ以上はもう何もしなくて良いです」って言う家族もいます。


(だいたいこんな感じの話)


@@@



『フルコース』


フレンチじゃなくてこんな隠語があるって知ってました?


非常に穏やかでない響きなんで、だから隠語なんでしょうけど…




……まぁ兎に角、仕方ないけど安心できるような言葉は何一つ聞けなかった。

今まで誰が話し掛けても何がなんやらわかってなかった父。


環境が変わったからか、話し掛けるとちゃんと答えるしナースコールとかしたりしてるらしい。


驚きである。


つまり、脳から自分の身体を使って第三者に表現するというOUTPUTと


誰かの動作が自分の身体を伝って(耳とか目とか)脳にいくっていうINPUTが


うまく機能していないだけで脳はちゃんと考えて動作してるんじゃないか?


と思ってしまった。


母曰く1人で何か喋ったりしてる。


部屋にもう一人居るって言ってて訊いても何も答えないらしい。


不思議だ…


不思議だらけだ…




早く実家帰ってあげたいけどOFFが今月は1日もない…

父の状況は、もう何が何かも、誰が誰かもわかってない状況みたいで、
医者曰く「なぜ話せてるかもわからない」くらいどうしようもない状態のようだ。
脳腫瘍の進行のスピードは恐ろしい…


とりあえず一週間分のテモダールを試したがまったく効いていないと言う事で

「もっと買うべきか?」

「もうそっとしておいてあげるべきか?」

という部分で家族が迷い中…。


いや、実際に迷っているのは私だけで弟妹&母は購入せずもうそっとしておいてあげよう派。
無理して今の状態を引き伸ばすだけの薬をやる意味はないからもうチューブやら痛みやら極力ない状態でそっとしておいてあげよう、との移行。
テモダールも効いてないし。



非常に難しい…


父が万が一でも少しの期間でも回復したら嬉しいは嬉しいけど遅かれ早かれ今と同じ状態にはなる。
私はそれでも良いと思う。

でもそれは遠くに住んでる私だからそう思うのであって、近くに住んでる他の家族にとって父の問題はもっとリアルだから見てて可愛そうなんだと思う。


んー。


でも何年先か何十年先かに、

「効き目なかったかもしれないけどあと一回くらい父にテモダール処方しておけばよかった」って思う可能性の方が
「あの時、テモダール処方しなくて良かった」って思う可能性より高いと思うんだな。




うん。



そう考えると、やっぱり注文するよう母に交渉しよう。

無事(?)なのかどうなのかはわからないが5月初めにテモダールが届き
今の病院の医者に無理やり御願いして引き受けてくれたみたいです。


テモダールって…
手で触ってはいけないとか
五日処方して1ヵ月様子みるとか、…すごい怖そうな薬ですね。

とりあえずテモダールで検索したらテモナットとテモダールが上位に来たのでテモナットを買いました。

テモナット
http://www.igenericstore.com/products/products.asp?p_unitid=39146&r_id=98

テモダール
http://www.irxmedicine.com/products/pdt.asp?p_unitid=29353

ジェネリック商品てなんなんでしょう?


そして肝心の効き目ですが、食事も出来ない状態なので胃にチューブを送って
てそこに一緒に流し込んでるらしいですが
拒否反応が酷いのと、まったく効いていないようです。

これは私が病院にいるわけでもないのでどのように
処方しているのかがわからないので判断のしようがないですが…
あるいはテモナットがいけなくてテモダールの方が良いのか?
とかも気になります。


父自体は、
-ほぼ意識はないらしく意識あるときも殆ど心を閉ざしてふさぎこんでいるとの事
-誰が誰なのかわからないときも多く脳の大事な部分の形が変わってきている


母は無理に苦しい思いさせるくらいなら痛みなく楽に死なせてあげたい、と言ってますがまさに私も同感です。
というわけでホスピスに移るって事になりました。

これを本当は父のBLOGにUPする予定でしたが、


「こんな元気ない写真のせたらあかんで笑」


と母に言われて行き場のなくなった写真です。


さきほどお見舞いに行ったときの私と父のツーショット。


だと思う。


去年の8月から月一回のペースで見て来たけど。


本人のやる気や意欲は一切ないし、母も「あんな辛いんやったら生きてるんがかわいそう・・・」と言っている。


うーん。


とりあえずテモダールを買って効き目があるか試すしかない。


先週、父の生徒さんだった医師と電話で話す機会があった。


状況を一通り説明すると、彼は安楽死の事などをいろいろ話してくださりやはり医師は冷静だな、


と感じつつ現実を直視する意見にまたへこんでしまった。


あと、今月末に大阪に一度戻るのでその際、父が元気ならば会いに行く、との事。


ここもやはり医師と一般人はちがうな、と感じる。


医師だけに父の今後がわかりすぎて会うのが余計辛いんだろう、と。




母に「あの先生と電話で喋ったよ。」とポジティブになることを話してあげたかったが


ポジティブになるような会話は一切なかったので話すのはやめておこうと思う。

あー、ついに、と言うかなんと言うか父が受けている治療がどんどん効かなくなってきた。

8月に医者に「貴方のお父さんは生きれて後2年」って言われてもう8ヶ月経った訳だし、

何をしても気分がマシにならないらしい。


確かにいつそうなっても不思議じゃない段階だもんね。


認めたくないけど。


母も、そうとうまいってるみたいで家族と離れて暮らしてる今、大して何もできず非常に歯がゆい。


弟も妹も優しいし良い子なんだが頼りないみたいで最近、かなり母が私に頼ってきてる。


私の母のイメージは「最強の女」だったので、人を頼る自体すごく意外だ。


それだけ母が精神的にまいってるって事だろう…


とりあえず"テモダール"って新しい治療法を試す為、北野病院に相談に行くみたいです。


あと父側のブログも、ピンチヒッターで私が父の近況を書くことになるかもしれません。

「父の相手してなかったから母がキレタ。元から性格あえへんからもう家出る」

との事。


妹は(たぶん)24歳で今まで実家に住んでてもう社会人なんだし家を出て一人暮らしは賛成なのだが。


その事で父に余計なマイナス要因(寂しがったり、人手が足りなかったり)が増えないかが心配だ。


かれこれ10年以上、親と離れて暮らす私にとっては、なにも今のタイミングで家を出なくても良いのでは?と思うが一緒に住む妹からしたらそうとう気が重いのだろう。

おそらく妹も弟も両親と一緒に住むがゆえ、父にしてあげられない事ってのが山ほどあると思う。

気付かない事も多いだろう。


妹はもとから父とはほとんど会話しないしあまり好いてはいない。


親と子が一緒に住むのってものすごく難しいと思う。
私も一緒に住んでる時は自分の家族がいやでいやでしょうがなかった。
1日も早く家を出たかったし、家のルールすべて、従うのがいやだった。



家を出ることに対して止める事は出来ない。
妹は良い年してるわりに社会常識がなさすぎるので、むしろそうするべきだ。


しっかし、タイミングが微妙だな・・・

父が寂しがらないだろうか…

疎外感とか「自分が病気のせいで」みたいにネガティブに感じないだろうか…



希望的観測しかできないが、家を出る事で妹ももっと大人になって今の状況をきちんとみれるようになれば良いなぁ。

その子は、私と同じくらいの年の女性。

彼女は中学の頃、母を癌で亡くしている。
そっからずっと鬱などいろんな病と戦いながら今は元気に社会人として普通に生活している。


彼女のことはずっと前から同じ大学だったので知っていたし仲も良かったがなかなか会う機会も無かった。
父の癌の事が発覚した時から、その事を彼女に相談したかった。


父の事を仲のいい友達とかには言うけど相手はかなり「どう返答したら良いかわからない」顔をする。
当たり前だ。私がその立場だってもなんて言って良いかわからない。


その点、彼女は同じ事を経験してる(しかも思春期に入る前とかの人生ですごく重要な時に)


父の事を伝えた時、驚いてはいたが決して動じてはいなかった。



彼女の印象的だった台詞。
「自殺未遂とかしていろんな人に迷惑かけたけど、母が中学生の時亡くなった事で普通では経験できなかったいろんな事を経験できて、今は母に感謝してる」


その言葉にすごく頼もしさを感じつつすごく感動した。

父は体調の良い時と悪いときがある。
体調の良い時は、メールしてもすぐ返信してくるし自分のブログも頻繁にアップするし"左半身が動かない"という事以外は普通の父である。


問題は体調が悪いとき。寝れないし食べれないし何もやる気がしないらしく。
おそらく死にたい死にたいと母に言ってる事だろう。母が大変だと思う。


先日、父と父の知人と会話しているのを聞いた。
「もう苦しいだけやからいっそ死にたいけど家内に励まされて何とか生きてる」
こういう時って夫婦ってのは大事だと切に思う。



正月、自分は風邪で寝込んでしまった。
身体中が痛くて苦しかった。
苦しい時って、「自分が煩ってるのはたかが風邪なんだし今日寝れば治るだろう」と思う。
どれだけ苦しくても思える。
時間薬って言うのか、いつかこの苦しみが終わるって事に対する期待。


でも腫瘍(に限らず重病)の人は、その将来に対しての希望がないわけで、ほんとうにその辛さは想像を絶すると思う。

本当に苦しみから開放されるときって言うのは自分の命のなくなるとき。


今週の土曜、半日だけだけど父と一緒の時間を過ごせるのであんまりつらい事は考えず精一杯楽しみたい。