以前にも書いた事はあるが たっくんは ちゃんと空気読めてます。
たっくんが 自閉系だと 人に話すと
「へーじゃあ 空気読めないんだー」
って言われる事が多い。
なんだか お葬式で大笑いでもするようなイメージで言われるが
そんな事は まったくない。
人の視線も顔色も すごく気になるから
電車の中で 大声で話しかける おばちゃん風チュン君と
一緒に行動するのは嫌いだったし
相手の機嫌や状況をしっかり 読み取って気をつかったりもできる。
でも
それが 全くできなくなる事がある。
その1つが
記憶の津波が押し寄せてきた時だ。
そして その現象が1番起こりやすいのは
家で テレビを観ている時。
ささいな事がきっかけで起こる。
映画のワンシーン
出てきた俳優さん
聴こえた音
乗っている車
一言のセリフ
家の壁紙
地雷は ありとあらゆる所に隠れているのだ。
たっくん 「あ!今の音 アレの音と同じやね!」
私 「え?音? 聴こえなかった。」
たっくん 「ほら~ 今 あの人の後ろに居た人が
パソコンで~なんたら かんたら…」
私 「そんな 一瞬の音 聞こえないよ。
しかも その人 全然 エキストラだし。関係ないし。」
たっくん 「でも 聴こえたよ。
その音がね 前に観た 映画の〇〇の音と同じやった。」
なんだか 嫌な雲行き…
ここは 早々に切り上げなければ
楽しみにしていた 映画が観れないではないか…
私 「そんな映画知らんし。ママ観てないし」
たっくん「うん?観たよ。ママも。
ママはあの時 ご飯を作りながら観てたよ。たしか…オムレツ。」
私 「でっでも 覚えてないし。
大体 いつの話よ?」
たっくん 「あのね えっと…多分…たっくんが保育園で~」
いや…覚えてねーだろ…普通…
たっくん「その映画はね、始めに えっと~たしか
マイケルって言う人が 〇〇って言いながら銃を持っててね。
そしたら えっと~キャシーって言う人が
あ…その時 キャシーは 小さい花柄の服を着てて…
なんたら かんたら…」
うるさい…
映画のセリフが聞こえね~
てか もう ストーリーが分からなくなってきたし
そこで 私が
「すみませんが、テレビが聴こえないから 静かにしてください…」
と言う。
すると
「でも ママ 忘れたって言ったから」
だれも 教えてとは 言ってねーし!
私は イライラを抑えつつ
「でも 今 ママはこの映画観てるから 後で教えてくれる?」
しかし…
彼はもう マイケルとキャシーの映画の世界に行っている。
「後に なったら 忘れちゃうから!
えっと それからね…マイケルが仲間のお巡りさんに
〇×△□って言って そしたら…」
やばい。これは止まらなくなるぞ。
「たっくん!たっくん!うるさい!静かにして!」
「うん。でも 止まらないよ。それでね ジョンがね。あ ジョンはマイケルの…」
たっくん エキサイト…
そして…
口で上手く説明できないから 立ち上がって 身振り手振りまで入りだす。
しかも 親切にも 私に見えるように
テレビの前に やってきて…
私は 大袈裟に たっくんをよけて テレビを観ようとする。
すると
エキサイトして 銃で撃たれた マイケルが 私の上に転がりこんでくる。
痛い…
もう テレビの内容はさっぱり分からない。
しかも… くやしいけど…
マイケルが…気になるではないか…
そして 私は マイケル物語を最後まで観る?はめに…
この現象は
自閉系のたっくんの 忘れられない脳みそが原因ではないかと思う。
セリフや聞こえた音楽や物音、登場人物の動きなどを細かく記憶している。
そして それは すごく すごく 些細な共通点をきっかけに
たっくんの脳みそに 津波のように流れ込んでくる。
そして 私が とてつもなく迷惑していても
大声で怒鳴っても
もう 記憶の中に埋もれていて 適切な反応ができない…
しかも それが 楽しい映画の記憶なので 話したくてたまらないし
自分も 話すことで記憶をさらに明確にして 頭の中のスクリーンで最後まで観たいのだ。
そして 言葉での説明が苦手なたっくんは
そのうち アクションでの説明になり…
私は 映画の登場人物からの攻撃をもろに受けている…
うちでは 3Dテレビは必要ないと思っている
でも 大好きな映画の話を たっくんにしてもらうと
バックミュージックから足音まで再現してくれて
リアルに想いだせるので 結構 好きだ。
痛いのを我慢すれば…だけどね…
