水野美邦『パーキンソン病 発症機序に基づく治療』
ガイドライン2018年以前の、2017年出版だったので、読むのが遅くなりましたが、とても参考になる本でした。
税込3740円と、医学書にしては手に取りやすい価格。
以降に使えるようになった薬のことはもちろん掲載されていないけれど、それはそれで研究の進歩を感じます。
特に熟読したのは、患者498名の統計と分析(2015~2016)。
この先どうなるのか、どうしたって気になってしまうから…
498名のうち、発症年齢別でみると、39歳以下発症は22名。
病歴1年の若い方から、病歴52年の高齢の方までいる。
そして、Hoehn & Yahr重症度は、2以下が12名、全員が3以下。
ウェアリングオフについては、なしが7名、ありで1日のL-ドーパ服用回数4回以下が5名。8回以上服用が3名。
ジスキネジアは、なしが15名、あるが良く観察しないとわからない程度が4名。
40代発症は52名。
病歴3年の中年から、病歴28年の高齢の方までいる。
Hoehn & Yahr重症度は、2以下が35名。なお、48名が3以下。
ウェアリングオフは、なしが15名、ありで1日のL-ドーパ服用回数4回以下が6名。8回以上服用が14名。
ジスキネジアは、なしが31名、あるが良く観察しないとわからない程度が11名。
ウェアリングオフは、経過が長くなればでやすい症状だから、先の長い若年発症者にとっては悩みの種…
498名全体でのデータでいえば、発症から10年以内にウェアリングオフがでる人が半数くらい。
発症から15年以内で75%くらい。
でも、20年以上たってもウェアリングオフがでない人が25%くらいいる。
Hoehn & Yahr重症度で若年発症者と高齢発症者を比較してみると、70歳以上発症者105名(病歴1~25年)のうち、2以下は
36名で、3が35名、4以上が34名。
若者や中年は筋肉も体力もあるのだから、「寝たきり」のイメージを恐れずに、積極的に活動しなきゃですね。
ジスキネジアについては、498名全体でいえば、なしが390名、あるが良く観察しないとわからない程度が68名。
あるが本人は気にしていない程度37名。目立つジスキネジア3名。
意外とジスキネジアに困っている方は少ないらしい。
ただし、あるが本人は気にしていない程度37名のうち、40代発症者が10名。目立つジスキネジア3名のうち39歳以下発症者が1名いることから、割合的に若年発症層にジスキネジアの頻度が高いといえるのかも…。
個人差が多い病気だから先のことは何ともわからないけれども、よくあるパターンを見越した投薬治療ができれば、だいぶ暮らしやすくなれるってことですね!