うつ状態で以前から通院していた患者Aさんが入院されました。
病棟では、食事やトイレ以外、昼間もほとんど自室で臥床しています。入浴は拒否されることもあります。作業療法もやっていただいてますが、よく拒否されます。
薬物療法として、うつの薬、睡眠薬の他、下剤も出しています。
入院初期、便が出なくて困ると言われていました。
そこで、下剤を処方しました。
すると、下痢になると言われます。
そのため、何度も用量を調整しました。
お通じには、腸の蠕動運動が重要です。腸も自律神経に支配されて運動します。ずっと寝ていると蠕動運動が鈍りがちになって、便秘傾向になります。
Aさんがなかなか離床してくれないのは、うつに伴う意欲低下や倦怠感などの遷延なのかなと当初思っていました。睡眠薬は過多にならないよう、適宜調整しました。
入院後期、しっかりお話になりますし、食事も嫌いな物以外は食べます。睡眠も自覚的にも他覚的にもとれています。
表情も普段あまり冴えなくても、笑顔に綻ぶ場面もみられます。
ずっと寝ていることの弊害を様々な角度から説明すると、「確かに、今そんな感じですね」と言われます。つまり、寝たきりが良くないことは、頭では理解しています。
そこで、寝ている理由、入浴しない理由を尋ねると、「下痢が怖い」と。
普段から起きていてもらって、それに合わせて下剤を調整したいところですが、寝ていて便秘傾向になると自然と下剤が多めになってしまう。
「もっと起き上がって、病棟を歩いてください。運動しましょう」と促しても、依然として寝ています。
自分が診ても、看護師が看ても、もはやうつ状態とは言えないぐらいの改善をみていますが、相変わらずベッドから出てくれない。
これ、果たして何なんだろうか?
本当に病的な理由で離床してくれないのか?
もはやそうではないように思えます。
単なる我儘?
精神科医療で、もちろん「根性だ!」と言うわけにはいきませんが、一方で、何でも病気のせいにするのも如何なものか?
配偶者の方には「病的な理由も一部あるとは思いますが、それが全てではないと思います。もはや薬の問題でもないと思います」と少し突き放して病状説明させていただきました。
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