統合失調症は、脳内の情報伝達が上手くいかなくなっている病気です。基本的には薬でコントロールします。薬を飲まなくなると、症状再燃することがほとんどです。
つまり、飲んでいれば大丈夫ですが、飲んだからと言って治るわけではないです。
飲んでいても治らないなら飲みたくない、ずっと飲むなんて…と嫌な気持ちになってしまうかもしれません。
でも、眼鏡をかければ近視が治るわけではないですよね。近視が治るわけではないけれど、眼鏡やコンタクトレンズを使っていれば生活に支障が出ません。
ならば、使わない手はありません。
薬も生活を健やかに送るための道具と考えましょう。
ところが、データ的には1年以内に4割の患者さんが服薬を辞めてしまう。
飲みたくないから…という人もいますが、調子がいいから要らないと考えて、やめてしまう人もいて、理由は様々ですが。
中年男性。統合失調症患者さん。
今年から当院へ転医し、外来通院中。
A月A日 外来
当医/私:調子はどうですか?
患者さん:電波で攻撃される。
私:薬を飲んでいますか?
患:飲んでる。
私:(薬が弱いのかなぁ?)
B月B日 外来
私:調子はどうですか?
患:電波で攻撃される。
私:薬を飲んでいますか?
患:飲んでる。
私:(薬の効きが悪いのかなぁ?)
C月C日 外来
以下、ほぼ同文。
X月X日 外来
患:おい、タカイチ(仮名)、電波やめろ~(大声で叫んでいます)。
私:だいぶ興奮が強いようですね。
患:サナエ(仮名)、電波はおまえだ!
私:入院しましょう。
患:強制入院か?
私:そうです。
患:ケーサツに訴えるぞ、このやろう~。
実際には口頭と書類で説明するなど、医療保護入院時の手続きはもっといろいろあります。騒然とした外来待合室に男性スタッフ約10名が待機。外来患者さんも大勢いるので、万全を期しています。手続き終了後、男性スタッフと共に病棟へ行っていただきます。
私は他の外来患者さんの診療を続けます。赤ちゃんを抱いた若い産後うつのお母さんは、びっくりして怖がっていました。
入院病棟では別の先生が代行。幻覚妄想状態、精神運動興奮状態で、スタッフを威嚇するなど易怒性や攻撃性もあり、一般病室での療養不能にて、保護室隔離になりました。
数日後のY月Y日 入院病棟 保護室
私:調子はどうですか?
患:だいぶいいです。
私:ここへ来られた時のこと、覚えてますか?
患:はい、覚えています。すごく調子が悪かったです。
あの時、大声で叫んでしまいました。大変申し訳ございません。
私:(全然違うわ!)
私:お薬の飲み忘れ、ありませんでしたか?
患:ええ。たまに。
私:1週間のうち、飲み忘れは何日ぐらい?
患:週に1~2日だと思います。
実は、外来の時に処方していた薬と同じ薬を変えずに、そのまま入院後も処方していました。つまり、やっている薬物治療は同じ。
それで、疎通は極めて良好、おかしな言動はなく、めちゃくちゃ穏やかになったのです。と言いますか、外来通院中も含めて、これまでで最も穏やかです。
要するに、外来中に薬が飲めてなかったんですね。
飲めてなかったのが週に1~2日と仰いましたが、おそらくもっと飲めてなかったと思われます。
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