今年は診療報酬改定が行われる年です。診療行為ごとに公定価格(点数:1点=10円)が決められていますが、通常2年に一度見直しが行われます。

その診療報酬改定ですが、変な話、ある年は〇〇科が、またある年は△△科が狙われる!?のですが、今回は精神科でかなり大きな動きがありました。業界を相当大きく揺るがすような動きで、私も今回の件で、精神科医ユーチューバーの動画を3~4本視聴しましたが、これで一部のメンタルクリニックは潰れるだろう、あるいは、潰す目的の改定ではないかというぐらいの話です。

 

ザックリ書くと、2026年6月から、非精神保健指定医がクリニック等で診療する場合の「通院精神療法」の点数が、今回の改定で現行の6割(=4割減)にて算定されるようになります。

これは、かなり衝撃的な内容です。つまり、「クリニック」「非指定医」の診察料を大幅に減らすぞ!…というものだからです。

写真は厚労省のYouTubeからの抜粋です。赤の下線は私が施したもの。

 

そして、クリニックで非指定医が3種類以上の抗精神病薬や3種類以上の抗うつ薬を一度に処方している場合、そもそも算定できない(診察料ナシ)としています。

 

非指定医が精神科クリニックを開院している場合、患者さん側にとってはラッキーな改革かもしれませんが、今回の改定で相当な減算となり、経営的に非常に大きな影響を及ぼすものと考えられます。

事実上、非指定医のクリニックに対しての廃業勧告のような改定です。

 

非指定医でも、精神科病院の場合は概ね上記の除外規定に該当するものと思われますし、指定医ならクリニックでも点数減算はなく、むしろ微増です。

 

指定医は、医療保護入院や措置入院、隔離や拘束など、主として入院医療で必要となる国家資格です。ところが、外来通院の医療では必要となる場面があまりなく、これまでは指定医と非指定医の診療点数の差が僅かであったため、指定医資格を取らずに開院した精神科医も多かったと思います。

私が初期研修中の精神科病院にも、こういう先生がいました。指定医資格を取らずに数年前に某都市の某駅前に開院されましたが、どうなることやら。

 

クリニックの全てとは言いませんが、それなりのトレーニングを受けることなく開院したり、非精神科医のバイト医を雇って精神科診療させたりしているメンクリを締め出す狙いなのは間違いなさそうです。

そして、国としては、勤務医がクリニック開院する流れを止めたいという考えもあるのかもしれません。

 

ただ、この業界で心配されているのは児童精神科医の先生。元々は小児科医で児童を診るようになった先生の場合、指定医資格を持っていない可能性が高い。

児童精神はちょっと特殊な領域で、専門としている先生は少なく、貴重です。こういった先生がとばっちりを食うのは不味いです。

 

指定医資格ですが、精神科の経験3年以上の医師が「常勤医」として、「その病院」で得た「措置入院症例・医療保護入院症例」について、指定医の指導を受けながら合計5本のレポートを作成しますが、事前に3日間の講習会に参加し、毎年6月か12月の締め切りまでにレポートを提出し、レポート審査と口頭試問を経て、提出から10~11ヶ月かかってやっと合格通知が来るものです。

資格自体は普通にトレーニングを受けていれば高い確率で取れますが、何しろ時間がかかりますし、上記「 」の条件から、クリニックを経営しながら指定医資格を取ることは事実上不可能。

クリニック非指定医への救済措置の一部として、20年以上の経験と、かつ、過去1年以内に行政のお手伝い等をしていれば指定医と同等に認められるようですが、該当者は極めて稀でしょう。

 

決してクリニックに通院中の患者さんの不安を煽るつもりはありません。そこは冷静になっていただきたいのですが、非指定医が診療を行っているメンクリの場合、経営をやっていけず、もしかすると、突然閉院するようなことがあるかもしれません。

 

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