これは私が初期研修医だった時の精神科研修での1コマです。

研修では、先生方の診療に張り付いて見学するわけですが、ある非常勤の先生の外来の診察を見学させてもらうことになりました。

というのも、実は指導医の先生が「某先生は診察時間がすごく短くて、電子カルテの患者一覧を見ていると、あっという間に「診察終了」になるね」と、某先生がロクに診察しないことを暗に示していたため、実際にはどうなんだろうと変な(?)興味を持ったからです。

 

そして、実際に診察に陪席してみると、それはまあ確かに酷いもんだと思いました。

 

どう酷いかって、患者さんが出入り口のドアから入って着席するのに20秒。

「調子はどうですかぁ~?」と聞きながら、前回処方薬をコピーペイスト。

患者さん「はい、調子いいです」と答えると、某先生「はい、じゃあまた次回」と、診察に20秒。

座席を立って、ドアを出るまでに20秒。

問診は1問だけという、あまりにも速攻で唖然とし、こっそり時間を計ってみたら、上記の如く、流れ作業の1分診療でした。

 

同じ薬を出し続けるのも100%ダメではないですが、症状に応じて薬剤調整の必要性も検討すべきはずなのに、「調子いい」の一言を受けて同処方というのも、見ざる、聞かざるで、如何なものでしょうか?

 

それに、医者ってコンサルタントの側面もあると思うのです。何か相談されたら答えることも大事。今の私なら、何かかんなで5分やそこらはすぐに経ってしまう。

某先生の診察は、最長でも3分を超えませんでした。

 

ただ、これには患者さんの層が認知症高齢者が多かったことも関係があったのかもしれません。症状や治療などの相談事が特にない定期患者さんゆえに、サッサと診察を強制終了していたのかも。

 

指導医の先生曰く、「某先生のクリニックのホームページを見ると、「患者さん1人ひとりに合わせた丁寧な治療を行います」って書いてあるけど、嘘ばっかり」と。

皆で大笑い。

 

時間をかければ良いとは言いませんが、私にはそんな流れ作業のような診察はとてもできませんね。

 

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