精神科病院の中には、職員が患者さんに暴行や虐待を加えるなど現在でも問題を起こす病院がたまに報道されています。ただ、それは本当に少数だと思いますし、こうなるともはや医療ではありませんから論外。

例えば、統合失調症は、脳内での情報伝達が上手くいかなくなる脳の機能の病気で、今は非常に良い治療薬が上市されていますが、1950年代にクロルプロマジンという薬が出る以前は有効な治療法がありませんでした。周囲の人には了解し難い言動が症状として現れることから、大昔は座敷牢と言って自宅に作った牢に閉じ込めておくなど今なら大きな人権問題になるような闇の歴史がありました。

 

そんなことからも、精神科医療について、もしかするとそのようなイメージを持たれている一般の方々がおられて、一部誤解があるかもしれません。

例えば、強制入院とか、閉鎖病棟とか、隔離室とか。

言葉が一人歩きして、怖いイメージがあっても不思議ではないかもしれません。

 

入院形態に5つあることは以前説明しましたが、うち4つはいわゆる強制入院の形態を取ります。ただし、強制入院という言葉は精神保健福祉法で用いられる法律用語ではありません。強制という言葉の響きは重いですが、病気のせいで自分が病気であることが解らない状態(病識欠如)になっていると、本人は治療の必要性が理解できないことから、本人保護のためには本人の意向に反して入院していただかなければならない、という趣旨になります。

閉鎖病棟も、保護された環境で治療していただく必要性から、やむを得ないことですが外へ出られないようになっているものです。

これらは、身体科の病院とは事情が大きく異なっている部分でもあります。

 

隔離室に入っていただく患者さんや身体拘束については、その考え方や対象患者さんが法律で以下のように示されています。

隔離は上記アイウエオに明記されたものに、身体拘束は下記アイウに明記されたものに規定されています。

もちろん、これらの誤用は厳禁。

 

12時間を超えない隔離は非指定医でも可能ですが、基本的には精神保健指定医が法に則り、患者さんの人権を守る観点から、こういった処遇を行う際は厳格にすべきものとされています。

 

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